チャイムが鳴り響く、静かな教室。教室は暖房がかかっているせいか、喉が乾燥する。この季節はしょうがないことなんだが…。
「ホームルーム始めるぞー」
僕らの担任は異様にガタイがいい、若い先生。まさしく“威厳”のある男の人だ。
クラスメイトの女子が入学当時、担任を見てわーきゃー言って騒いでいたのを覚えている。数ヶ月経ったいまでもかっこいいだの言って色目を使う女子が多いらしい。まぁ、色目なんていうものが効かないと噂にもなっているけど。
「今日から、転校生が来る。」
紹介されるように出てきたのは、このクラスに馴染めそうにもない男子。と思ったが、なんか見たことがあるような。あ、わかった。中学時代の同級生、間宮だ。なんだコイツ、やっと離れたって思ってたのに…。嫌な記憶がぶり返す。
ーあれは中学二年の秋頃。中庭には綺麗な紅葉が散っていた気がする。
『…間宮!』
『んだよ、うるさいなァ』
なんだコイツ。名前呼んだだけじゃん!?その態度はないだろ、せっかくサボってた授業のプリントを持ってきてやったのに。しかも、わざわざ探してまで。うるさくもしてないし。
『はいどうぞ、これ。先生から、』
『あぁ、そう。』
間宮はいつものようにそっけない態度のまま、バッとファイルを僕の手から取り、背を向けて歩いて行く。いくらクラスメイトだからといえど本当にコイツ、本能的に無理だわ。嫌いなやつトップ3だ。
まあ、気にしているほうがイラつく。忘れよ。
そう思っていた翌日、
『井上さん、ごめんけど…間宮を呼んできてもらえる?』
『えぇ!また?』
と先生からまたまた間宮探しをさせられた。正直面倒くさいし、苦手だし、話したくもないんだけど。そう思いながら渋々了承したけど、他のやつに任せればよかったな。なんで、やりますなんか言っちゃったんだよ、僕!
それから数十分後。
間宮を見つけたのはいいが、間宮が彼女らしき人とキスしているところを目撃してしまった。僕自身からは別にそれが悪いとは言えないが、授業中にやることじゃないだろと嫌悪感を覚えた。見ちゃいけないものを見た、戻ろう。その時に初めて締め付けられるような苦しい胸の痛みを感じたな。
「じゃあ、間宮くんの席はそこのパーマ男子の隣な」
気がついた時には自己紹介が終わっていたようで、席が割り振られていた。…というかパーマ男子って僕の斜め前の席の人だよね。あ、終わった。間宮が僕の前の席になるの?えーめっちゃ居心地悪いじゃん。今までは桜が見えやすくていい席とか言ってたのに。おかしいよね?意図的だろ!
「井上、」
「……」
多分僕、間宮に呼ばれた。いやいや、そんなわけ
「井上!」
あったわ。間宮が僕の机を手の甲でコンコンしてくる。
「なに?話しかけられても困るんだけど」
「覚えてねぇの?俺さ葵、間宮葵。」
知ってます。なんなら入ってきた時点でわかってたよ。なんか、この場にそぐわない奴だなって思ってましたけど?洒落た着崩し方しやがってって。
「覚えてるよ、間宮探し担当だったし」
「そ」
うわ、こいつ。俺よりも地位高いですよアピール?いちいちうざいな。腹立ってきた。
「二人知り合い?」
「そうなんですよ」
「違います!」
違うだろ、知らない人ってことにしといてくれないのかよ。お前が今いうべきなの「知らないです」だろ!今までだったら絶対「コイツなんて知りません」みたいにしてたろ。なんで!
「俺のこと、覚えてるって…」
「違います」
「間宮探し担当だっただろ」
「いえ、違います」
「同級生だっ…」
「知りません!」
知っている判定にしたくない…。こんな奴。
「仲良くしろよ」
いや、できるかよ!
ホームルーム後、想定どうりに彼の周りに人が集っている。
「間宮くん、彼女は?」
「いないな」
「じゃあ…、好きなタイプは?」
「うるさくない人。」
クラスメイト達、愛に飢えてんのかて。まず、なんでコロコロ目当てを変えれるんだよ。入学当時は担任。現在はコイツ。男で、顔が良ければ全てよしなの?おかしいだろ、間宮の性格終わってるって。
「これからよろしく。仲良くしてね!」
「ははっ、よろしくな」
え、コイツってこういう風に笑うの!?ちょっとカッコいいって思っちゃうじゃん。え、普通にガハハって笑うかと思ってたんだけど。うわー、全てが洒落てるな。
「で、井上。」
「なんだよ…。別になにも話すことなんて、」
いや、あるか。なんでここに来たのかとか、なんで僕に話しかけてくるのかとか…?いやぁ、それはいらんな。
「なんも変わんねぇな。生意気ボーイ。」
「はぁ!?生意気なんかじゃないんだけど!」
生意気って意味知っているんですか?どっちかというと、お前だろ!偉そうな自信過剰野郎。あぁ、もうこれ以上話したくない。話しかけてくんじゃない!
「間宮さん、消しゴム落としましたよ」
「えー!ごめん、ありがとー!!」
ードキッ♡
いやいや、何が“ドキッ”だよ。おかしいな。人変わりすぎな奴に。
「あ、間宮、筆記用具は?」
「ない」
「は!?」
何言ってるの!一限の先生に怒られると面倒臭いよ?
「井上の借りるわ、サンキュ」
そう言って、筆箱の中から数本シャープペンシルが抜かれていった。コイツ、当時と変わんなすぎじゃない!?だってさ、あの時もバッとファイル取ってきて!
「ちょっと待て、これ使え」
そう言ってきたのは間宮の席の隣、パーマ男子。彼が持ているのは多機能シャープペンシル。確かに、こっちの方がいいか。
「あぁ、いい。今もう借りたから」
あ、素っ気ない態度も変わってなかった…。
「そうか」
なんか、パーマ悲しそうだったけど…。えぇ、コイツ、男子にもモテるの!?確かにさっき、僕も間宮にドキッてしちゃったけども!顔って大事だな。これでメガネつけてたら結構よかったな。あ、あと、静かで優しければパーフェクト。
「授業始めます」
とその声と同時にチャイムが鳴る。というかコイツが授業受けてんの、珍し。記憶上の間宮は授業前にふと消えて、僕が探してたな。どうだ、授業抜けるかな。
「転校生さん、用具は?」
「え、渡されましたっけ」
やっぱり生意気なのはコイツ。僕はどう考えても違うでしょうよ!
「とりあえず、座って。号令。」
コイツ、モテに来てるな。キモ。
なのに、コイツから目を離せない俺も、キモすぎる。
「〜、」
授業中、時々回ってくるよくわからない紙切れに『眠い』とだけ毎回書かれている。とは言えど、字体も違うし、なんか一言のおまけつき。これなんの紙切れ?わざわざノートちぎってるだろ…。無駄すぎ
「そこ、何してんの」
あ、見つかった。
「手紙っすね」
「…、⁉︎」
「俺が一方通行で送ってますけどね(笑)」
バカにも程があるって!これからの生活も終わったわ。
「間宮、後から職員室な」
お?僕呼ばれない感じ⁉︎勝った。返事返してなくてマジよかった。ま、返すようなものでもないから返してなかったんだけど。ほんと、いちいち送ってくる内容じゃないのにな。というか、なんで僕に構ってくるんだ…?中学の時はあれだけ仲悪かったというのに。悪意あるだろ。
授業が終わって数分。怒られたのであろう間宮は肩をすくめ、教室に入ってきた。そんな彼に
「何話したの?」
とか、
「あの先生、怖かった?」
の必要のない質問が押しかかっている。それでも、ちゃんと答えるは答えるからもっと質問の幅が広がり出し、特に女子からの離れられない圧がいい感じに効いているようだった。僕だったら絶対あの空気感にいられれない。なにより、気持ち悪くなってしまいそうだ。
僕たちのクラスには“日直”というのがある。それは、席を順ぐりに回って一周したら席替えみたいな感じ。あぁ、でも、そろそろ一周しそうだな。おぅ、ということは…
席替えか⁉︎
少なくとも間宮とは席が離れて欲しい。面倒くさいし?また手紙回されて、こっちまで怒られては意味がない。今回はどうにか免れたからよかったなんて思ってたのさ。
ーキンコーン
二限開始のチャイムと同時に先生がガラガラ入ってくる。ーあ、あの例の担任の先生ね。
「二限は、席替えするから準備しろ」
ほーら、やっぱり!よし、いい席取るぞ!!なるべく一番後ろ、一番後ろ!!
ー「っしゃ!!」
僕が引き当てたのは運良く一番端の後ろ。先に引いた間宮は…っと。あ、逆側の端だ!!うぉ、やったぁ、席離れた!!神様、仏様本当にありがとう…。一生このご恩は忘れません!!
「間宮くんのとなりだ!!」
そう言ってなんか騒いでたのは一軍女子で、周りの女子はあーだのこうだの言って悔しがってる。なんでそんなにあいつがいいんだよ。僕なんて離れろって願ってたくらいだぞ?勘違いするな、君らがわーきゃー言ってる相手はただの自信過剰猫被り野郎だ。
今思えば、中学の時、モテてたわ。元カノが腐るほどいるとかどうとか言ってたから特に「近寄りがたい」って言ってる男子も数多くいたんだよな。え、待って。この高校って僕の元中学出身いないのか…?コイツから離れてんの僕だけか。ま、そっちの方が都合いいからいいんだけど。
「じゃあ、移動するのは明日な。」
うわ、そういうやつね。あと一日はこれで頑張れよと。先生、きついですよ。
「井上、席どこ?」
と聞いてきたのは、席が離れる(確定)の間宮。
「え、一番端」
とか言って僕も間宮に素っ気ない態度で返したつもりだったんだけど、
「俺も!ってことは逆か(笑)」
逆になんか懐かれてるみたいになった。何が(笑)だ。こいつの微笑なんか嫌だ。多分僕、これ以上コイツのこと理解しきれないわ。
お願いだからもう離れていろって、間宮よ。
放課後の靴箱。僕は「早く帰って、ゆっくり寝よう」とかそんな何気ないことを考えながら靴を履き替えている途中。後ろからは、カースト高めの女子の声。隣にはなんでかはわからないけど間宮。なんで、こんなにずっとくるんだよ。だいぶ鬱陶しいんだけど。
「今から帰るの?俺も帰ろっかな」
「は?え、無理。」
「無理ってなんだよ、仲良い風にしてあげてるのに。」
「それがいらないんだけど。」
「えぇ、じゃあさ…」
なんか、気になるとこで止めてくるな。言いたいことでもあるのかよ、なら言ってくれれば全然反応するんだけど。
「いや、なんもないわ!じゃあな!」
そんなことを言いながらパタパタと間宮は逃げていった。こいつの今の行動、完全に常習犯だ。いつもこうやって人を釣ってきたんだな、悪い趣味だ。
にしても、何を言いたかったのかとかよくわからないんだけど。中学の同級生とは言っても遊んだことなんてないし?気になってくる。
「ホームルーム始めるぞー」
僕らの担任は異様にガタイがいい、若い先生。まさしく“威厳”のある男の人だ。
クラスメイトの女子が入学当時、担任を見てわーきゃー言って騒いでいたのを覚えている。数ヶ月経ったいまでもかっこいいだの言って色目を使う女子が多いらしい。まぁ、色目なんていうものが効かないと噂にもなっているけど。
「今日から、転校生が来る。」
紹介されるように出てきたのは、このクラスに馴染めそうにもない男子。と思ったが、なんか見たことがあるような。あ、わかった。中学時代の同級生、間宮だ。なんだコイツ、やっと離れたって思ってたのに…。嫌な記憶がぶり返す。
ーあれは中学二年の秋頃。中庭には綺麗な紅葉が散っていた気がする。
『…間宮!』
『んだよ、うるさいなァ』
なんだコイツ。名前呼んだだけじゃん!?その態度はないだろ、せっかくサボってた授業のプリントを持ってきてやったのに。しかも、わざわざ探してまで。うるさくもしてないし。
『はいどうぞ、これ。先生から、』
『あぁ、そう。』
間宮はいつものようにそっけない態度のまま、バッとファイルを僕の手から取り、背を向けて歩いて行く。いくらクラスメイトだからといえど本当にコイツ、本能的に無理だわ。嫌いなやつトップ3だ。
まあ、気にしているほうがイラつく。忘れよ。
そう思っていた翌日、
『井上さん、ごめんけど…間宮を呼んできてもらえる?』
『えぇ!また?』
と先生からまたまた間宮探しをさせられた。正直面倒くさいし、苦手だし、話したくもないんだけど。そう思いながら渋々了承したけど、他のやつに任せればよかったな。なんで、やりますなんか言っちゃったんだよ、僕!
それから数十分後。
間宮を見つけたのはいいが、間宮が彼女らしき人とキスしているところを目撃してしまった。僕自身からは別にそれが悪いとは言えないが、授業中にやることじゃないだろと嫌悪感を覚えた。見ちゃいけないものを見た、戻ろう。その時に初めて締め付けられるような苦しい胸の痛みを感じたな。
「じゃあ、間宮くんの席はそこのパーマ男子の隣な」
気がついた時には自己紹介が終わっていたようで、席が割り振られていた。…というかパーマ男子って僕の斜め前の席の人だよね。あ、終わった。間宮が僕の前の席になるの?えーめっちゃ居心地悪いじゃん。今までは桜が見えやすくていい席とか言ってたのに。おかしいよね?意図的だろ!
「井上、」
「……」
多分僕、間宮に呼ばれた。いやいや、そんなわけ
「井上!」
あったわ。間宮が僕の机を手の甲でコンコンしてくる。
「なに?話しかけられても困るんだけど」
「覚えてねぇの?俺さ葵、間宮葵。」
知ってます。なんなら入ってきた時点でわかってたよ。なんか、この場にそぐわない奴だなって思ってましたけど?洒落た着崩し方しやがってって。
「覚えてるよ、間宮探し担当だったし」
「そ」
うわ、こいつ。俺よりも地位高いですよアピール?いちいちうざいな。腹立ってきた。
「二人知り合い?」
「そうなんですよ」
「違います!」
違うだろ、知らない人ってことにしといてくれないのかよ。お前が今いうべきなの「知らないです」だろ!今までだったら絶対「コイツなんて知りません」みたいにしてたろ。なんで!
「俺のこと、覚えてるって…」
「違います」
「間宮探し担当だっただろ」
「いえ、違います」
「同級生だっ…」
「知りません!」
知っている判定にしたくない…。こんな奴。
「仲良くしろよ」
いや、できるかよ!
ホームルーム後、想定どうりに彼の周りに人が集っている。
「間宮くん、彼女は?」
「いないな」
「じゃあ…、好きなタイプは?」
「うるさくない人。」
クラスメイト達、愛に飢えてんのかて。まず、なんでコロコロ目当てを変えれるんだよ。入学当時は担任。現在はコイツ。男で、顔が良ければ全てよしなの?おかしいだろ、間宮の性格終わってるって。
「これからよろしく。仲良くしてね!」
「ははっ、よろしくな」
え、コイツってこういう風に笑うの!?ちょっとカッコいいって思っちゃうじゃん。え、普通にガハハって笑うかと思ってたんだけど。うわー、全てが洒落てるな。
「で、井上。」
「なんだよ…。別になにも話すことなんて、」
いや、あるか。なんでここに来たのかとか、なんで僕に話しかけてくるのかとか…?いやぁ、それはいらんな。
「なんも変わんねぇな。生意気ボーイ。」
「はぁ!?生意気なんかじゃないんだけど!」
生意気って意味知っているんですか?どっちかというと、お前だろ!偉そうな自信過剰野郎。あぁ、もうこれ以上話したくない。話しかけてくんじゃない!
「間宮さん、消しゴム落としましたよ」
「えー!ごめん、ありがとー!!」
ードキッ♡
いやいや、何が“ドキッ”だよ。おかしいな。人変わりすぎな奴に。
「あ、間宮、筆記用具は?」
「ない」
「は!?」
何言ってるの!一限の先生に怒られると面倒臭いよ?
「井上の借りるわ、サンキュ」
そう言って、筆箱の中から数本シャープペンシルが抜かれていった。コイツ、当時と変わんなすぎじゃない!?だってさ、あの時もバッとファイル取ってきて!
「ちょっと待て、これ使え」
そう言ってきたのは間宮の席の隣、パーマ男子。彼が持ているのは多機能シャープペンシル。確かに、こっちの方がいいか。
「あぁ、いい。今もう借りたから」
あ、素っ気ない態度も変わってなかった…。
「そうか」
なんか、パーマ悲しそうだったけど…。えぇ、コイツ、男子にもモテるの!?確かにさっき、僕も間宮にドキッてしちゃったけども!顔って大事だな。これでメガネつけてたら結構よかったな。あ、あと、静かで優しければパーフェクト。
「授業始めます」
とその声と同時にチャイムが鳴る。というかコイツが授業受けてんの、珍し。記憶上の間宮は授業前にふと消えて、僕が探してたな。どうだ、授業抜けるかな。
「転校生さん、用具は?」
「え、渡されましたっけ」
やっぱり生意気なのはコイツ。僕はどう考えても違うでしょうよ!
「とりあえず、座って。号令。」
コイツ、モテに来てるな。キモ。
なのに、コイツから目を離せない俺も、キモすぎる。
「〜、」
授業中、時々回ってくるよくわからない紙切れに『眠い』とだけ毎回書かれている。とは言えど、字体も違うし、なんか一言のおまけつき。これなんの紙切れ?わざわざノートちぎってるだろ…。無駄すぎ
「そこ、何してんの」
あ、見つかった。
「手紙っすね」
「…、⁉︎」
「俺が一方通行で送ってますけどね(笑)」
バカにも程があるって!これからの生活も終わったわ。
「間宮、後から職員室な」
お?僕呼ばれない感じ⁉︎勝った。返事返してなくてマジよかった。ま、返すようなものでもないから返してなかったんだけど。ほんと、いちいち送ってくる内容じゃないのにな。というか、なんで僕に構ってくるんだ…?中学の時はあれだけ仲悪かったというのに。悪意あるだろ。
授業が終わって数分。怒られたのであろう間宮は肩をすくめ、教室に入ってきた。そんな彼に
「何話したの?」
とか、
「あの先生、怖かった?」
の必要のない質問が押しかかっている。それでも、ちゃんと答えるは答えるからもっと質問の幅が広がり出し、特に女子からの離れられない圧がいい感じに効いているようだった。僕だったら絶対あの空気感にいられれない。なにより、気持ち悪くなってしまいそうだ。
僕たちのクラスには“日直”というのがある。それは、席を順ぐりに回って一周したら席替えみたいな感じ。あぁ、でも、そろそろ一周しそうだな。おぅ、ということは…
席替えか⁉︎
少なくとも間宮とは席が離れて欲しい。面倒くさいし?また手紙回されて、こっちまで怒られては意味がない。今回はどうにか免れたからよかったなんて思ってたのさ。
ーキンコーン
二限開始のチャイムと同時に先生がガラガラ入ってくる。ーあ、あの例の担任の先生ね。
「二限は、席替えするから準備しろ」
ほーら、やっぱり!よし、いい席取るぞ!!なるべく一番後ろ、一番後ろ!!
ー「っしゃ!!」
僕が引き当てたのは運良く一番端の後ろ。先に引いた間宮は…っと。あ、逆側の端だ!!うぉ、やったぁ、席離れた!!神様、仏様本当にありがとう…。一生このご恩は忘れません!!
「間宮くんのとなりだ!!」
そう言ってなんか騒いでたのは一軍女子で、周りの女子はあーだのこうだの言って悔しがってる。なんでそんなにあいつがいいんだよ。僕なんて離れろって願ってたくらいだぞ?勘違いするな、君らがわーきゃー言ってる相手はただの自信過剰猫被り野郎だ。
今思えば、中学の時、モテてたわ。元カノが腐るほどいるとかどうとか言ってたから特に「近寄りがたい」って言ってる男子も数多くいたんだよな。え、待って。この高校って僕の元中学出身いないのか…?コイツから離れてんの僕だけか。ま、そっちの方が都合いいからいいんだけど。
「じゃあ、移動するのは明日な。」
うわ、そういうやつね。あと一日はこれで頑張れよと。先生、きついですよ。
「井上、席どこ?」
と聞いてきたのは、席が離れる(確定)の間宮。
「え、一番端」
とか言って僕も間宮に素っ気ない態度で返したつもりだったんだけど、
「俺も!ってことは逆か(笑)」
逆になんか懐かれてるみたいになった。何が(笑)だ。こいつの微笑なんか嫌だ。多分僕、これ以上コイツのこと理解しきれないわ。
お願いだからもう離れていろって、間宮よ。
放課後の靴箱。僕は「早く帰って、ゆっくり寝よう」とかそんな何気ないことを考えながら靴を履き替えている途中。後ろからは、カースト高めの女子の声。隣にはなんでかはわからないけど間宮。なんで、こんなにずっとくるんだよ。だいぶ鬱陶しいんだけど。
「今から帰るの?俺も帰ろっかな」
「は?え、無理。」
「無理ってなんだよ、仲良い風にしてあげてるのに。」
「それがいらないんだけど。」
「えぇ、じゃあさ…」
なんか、気になるとこで止めてくるな。言いたいことでもあるのかよ、なら言ってくれれば全然反応するんだけど。
「いや、なんもないわ!じゃあな!」
そんなことを言いながらパタパタと間宮は逃げていった。こいつの今の行動、完全に常習犯だ。いつもこうやって人を釣ってきたんだな、悪い趣味だ。
にしても、何を言いたかったのかとかよくわからないんだけど。中学の同級生とは言っても遊んだことなんてないし?気になってくる。

