身体が成長しない魔法少女と見習い剣士の少年と二人の親友のウサ子お姉さんは本物の家族になりたい!

 かつてのローゼンブルグの国王の娘、宇魅那(うみな)は、彼女の護衛であるロイヤルガードの女性騎士たちに護られながら森の中を移動していた。

 この国にはもう安全な居場所はない。
 彼女はローゼンブルグの隣の友好国まで避難して再起をはかることになっていた。
 
 しかし、彼女たちに運はほとんど残されていなかった。
 移動中に、女蜘蛛の魔物のアドネに見つかってしまったのだ。

 その見た目はさながら蜘蛛人間。彼女は、人に近い顔と豊満なバストを持っている。人間の面影の残っているアドネの身体は、彼女自身が元人間であることを物語っていた。

「ふふん、人間の姿のまま大勢で移動するなんて、間抜けな奴らだよ。私に見つけてくれって言っているようなもんさ。なあ、お嬢さん方」

「ちっ、蜘蛛人間か。やっかいな魔物に見つかった」

 ロイヤルガードの隊長、クラウディアは苛立っていた。

「聞け。各自、魔物の攻撃から宇魅那様をお守りしつつ、退避しろ。宇魅那様の安全を最優先とする。以上!」

「了解!」

 ロイヤルガードたちは宇魅那を守るように陣形を取る。

「おやおや、宇魅那様か? こいつはとんだ大物だねぇ。ははっ、お姫様ともあろうお方が、この国を捨てて逃げるつもりなのかい? バカだねえ。どこへ逃げるっていうんだ。もうこの国に安全なところなんてないのにさあ。お姫様、あんたもさっさと魔物になっちまえばいいのさ」

「私は──」

 何かを言いかけた宇魅那をクラウディアが制止する。

「魔物の戯言などに耳を貸してはなりません。宇魅那様」

「知ってるぞ。お前たちのような上流階級の女は子宮の中に、魔素を無毒化する特別なアイテムを仕込んでいるんだろう?」

(なぜ魔物ごときがそのことを知っている? この国の重要機密だぞ!)

「驚いた顔をしているねえ。私はねえ、食べた人間の記憶を受け継ぐことが出来るのさあ。なあ、魔素だらけのこの国でお前たちが人間の姿を保っていられるのは、そのアイテムのおかげなんだろ?」

 ロイヤルガードたちは明らかに動揺している。

「ふふふ、安心しな。お前たちは上物だから食べたりしないよ。腹の中のアイテムを奪ってから、お前ら全員に魔素をたっぷりぶち込んで、魔物の姿に変えてやる。そして、私の息子たちの相手になるんだね!」

 アドネは前足を振り上げて攻撃態勢に入る。それを見たロイヤルガードたちは前に出てアドネと交戦する。アドネは蜘蛛糸を飛ばして彼女たちを牽制する。しかし、ロイヤルガードたちはこの蜘蛛糸を華麗にかわした。

「さすがにロイヤルガードが複数となると、私一人では限界があるか。まあいい。おいで、私のかわいい息子たち。彼女たちと遊んでおやり」

 ロイヤルガードの周りに蜘蛛人間たちが集まってきた。

「くっ、ここまで仲間の蜘蛛がいたとは──」

 多数の蜘蛛人間に囲まれたことで、ロイヤルガードたちは一気に形勢が不利になる。

「このままでは宇魅那様まであの魔物に捕まってしまいます。クラウディア隊長、宇魅那様を連れて逃げて。ここは私たち二人で食い止めます」

「何を言っている、レイラ、シャロン。お前たち二人を置いていくわけにいかない。私が食い止めるからお前たちが──」

「隊長、あなた以外に、誰が宇魅那様を最後までお守り出来るのですか? さあ、早く宇魅那様を連れてここから離れて」

「くっ、すまない──」

 レイラとシャロンの二人のロイヤルガードが残り、その他のメンバーが宇魅那を連れて逃げる。

「逃がすか。全員私の息子のおもちゃになりな!」

「私たちは宇魅那様をお守りする!」

「この命に代えてでもね!」

 レイラとシャロンがアドネに攻撃を仕掛けると同時に、クラウディアは閃光の魔法を放った。あたりをまばゆい閃光が包みこむ。

「ちぃっ! やられた! 人間ごときが、こざかしい真似をしやがって!」

 目が眩んだアドネが悔しがった。