身体が成長しない魔法少女と見習い剣士の少年と二人の親友のウサ子お姉さんは本物の家族になりたい!

「メローネは我々の規律を破る行為をした。だから、その罰として呪いをかけたんだ。だけど、イバラ姫を見つけた君へのご褒美だ。特別サービスで呪いを解いてあげるよ」

「ありがとうございます、マスター」

 マテウスは硬い表情を崩さなかった。

「そう怖い顔するなよマテウス。この教団も君にあげよう。君の好きにしていいよ。もうボクには必要ないからね」

(どうせみんなボクが壊して無くなるんだから、それまでせいぜい教団ごっこを楽しむといい)

 マテウスはマスターを連れて研究所入口へと戻った。

「へえ、これが例の機械人形か」

「はい、この機械人形は強力な魔法を使うため、我々が研究所の内部に入るのが困難だったのです」

「君たちはこんなオモチャに手こずっていたのか? ま、仕方ないか。とりあえず邪魔だから、壊しておくよ」

 マスターがガーネットに手をかざすと、突然ガーネットの頭が吹き飛んだ。

「えっ!」

(何が起きたんだ? マスターが攻撃した? でも、何も見えなかったぞ)

「マテウス、ボクが優しくてよかったね。ボクが短気だったら、君もこうなっていたよ」

 マテウスは何も答えられなかった。

「さて、邪魔者もいなくなったし、中に入ろうか。心配しなくていいよ。メローネの呪いはもう解いてある。後のことは君の言っていた三人組に任せておけばいい。ボクたちはイバラ姫の元へ直行だ」

「……わかりました」

 マテウスたちは地下へ行き、イバラ姫が眠っている睡眠装置へとたどり着いた。

「ここにいたんだね。会いたかったよ、母さん」

 マスターは彼女が入っている水槽のガラス越しに語りかける。

 その後、しばらくイバラ姫を見つめたマスターは、振り返ってマテウスに話しかけた。

「……私とここで差し違えるつもりだったんだろう? やめておけ。別にここでお前を殺してもいいが、私は今最高に気分がいいからな。何もしないなら見逃してやるよ。その方がミリエラもメローネも悲しまずに済むだろうからな」

(くっ、頭ではこいつを殺したいのに、身体が、どうしても身体が動かない。やっぱり僕は弱い人間なんだ。肝心な時に、震えが止まらない。怖い。怖いんだ。さっき頭が吹き飛んだ機械人形が、どうしても頭から離れないんだ。すまない、ミリエラ、メローネ)

 マテウスは恐怖に打ち勝つことが出来ず、動くことが出来なかった。

「それでいい、マテウス。この身体とももうすぐお別れだ。お前には特別サービスでボクの身体を見せてやるよ」

 そういうと、マスターは仮面を外して服を脱ぎ始めた。

 マスターと呼ばれていた女性は、まだ幼さが残る子供のような顔と、それに似合わない成熟した美しい裸体をマテウスに見せつけた。

「どうだい、綺麗だろう? 結構この身体は気に入っていてね。だから、スポンサーの爺共にも尻しか使わせてやらなかった。そうだマテウス。ボクの身体を抱かせてやるよ。最後だからな。ふふふ」

「…………」

 マテウスは何も答えられなかった。

◇◇◇

 しばらく経ってから、マテウスはアンナたちの元へとやってきた。

「マスターに会ってきたよ。メローネの呪いは解いたそうだ。君たちには面倒をかけてしまったね」

「おつかれさま。メローネはまだ寝ているわ。これで元気になるといいわね」

「メローネとずっと一緒にいてくれていたことに感謝する。その間に私はマスターと一緒にイバラ姫の所までいってきた。彼女はこれから魔法でイバラ姫の身体を乗っ取るそうだ」

「不老不死の秘密は、身体を乗っ取る魔法を使っていたってことなのね」

「ああ、そう言っていたよ。でも、新しい身体に馴染むまではしばらく時間がかかるらしい。その間に君たちもここから退散した方がいい。彼女は危険だ。一刻も早く彼女から離れるべきだ」

「言われなくてもわかってるわ。私たちはここにある魔法の書物を大体読み終えたし、魔道具もめぼしいものは一通り手に入れたから、すぐにここから出ていくつもりよ」

「それでいい。メローネは私が連れていくよ。彼女にはまだ療養の期間が必要だろうからね。私は、彼女とどこか自然が豊かなところでひっそりと暮らそうと思っているんだ。だから、私は彼女と教団をやめるつもりだ。それに、私は教主には向いていなかったから、ちょうどいい機会だと思ってね」

「彼女がそれでいいなら、いいと思うわ」

「後で教団から君たちへのお礼もさせてもらうよ。私の次は、ミリエラという女性が教主になるはずだ。だから、彼女によく伝えておくよ。それと、これをもらってくれないか」

 そういうと、マテウスは仮面をアロウラに手渡した。

「これは、マスターがつけていた仮面だ。最後に渡されたが、捨てるにも捨てられなくてね。それに、これはメローネには絶対に見せられないからね。確か、持物から持主の記憶を読み取る魔法があるだろう?それを使えば、彼女が今後やろうとしていることが、少しだけわかるかもしれない」

「あなた、意外と性格悪いわね。そんなこと言われたら、もらうしかなくなるじゃない」

「申し訳ない。ただ、嫌な予感がするんだ。彼女はとてつもなくヤバいことを計画している気がするんだよ。この国自体を滅ぼすような恐ろしいことをね。だから、それがなんなのか、君たちに調べて欲しいんだ。虫のいい話なのはわかっている。ただ、君たちにしか頼めないんだ。わかってくれ」