身体が成長しない魔法少女と見習い剣士の少年と二人の親友のウサ子お姉さんは本物の家族になりたい!

 マテウスたちが研究所の入口前のホールにやってきた。

「へえ、あれが機械人形か。遠くから見ると人間と変わらないじゃないか」

「マテウス様、これ以上近づくと向こうに気づかれますから、ここで最終確認をしましょう」

「さすがだね、レオニード君。では、ブリーフィングを実施しよう。レオニード君とヨナ君には機械人形の囮役として戦ってもらう。危険だが、機械人形の攻撃を回避出来るギリギリの位置まで接近して彼女を引きつけてもらうしかない。その間にメローネ君には能力を使って遺跡入口まで移動してもらうよ。なるべく機械人形からは距離をとりつつ素早く移動してくれ。私は全体の指揮をとりつつ、負傷者が出た場合の救出を担当させてもらうよ。非常事態が起きた時の対応も私がしよう。何か意見はあるかな?」

「ありません」

 そう言いつつ、レオニードはマテウスに目で合図をする。

「メローネ君、僕がついてるから君は安心して任務を実行してくれ。もし何かあっても、僕が絶対に君を守ってみせるよ」

 メローネの頭を撫でながら、マテウスは優しく話しかけた。

「ありがとうございます、マテウス様。必ず成功させます」

 上目遣いで答えるメローネ。

 しかし、彼女の身体が震えているのを、レオニードは見逃さなかった。

「メローネ様。どうか無理はなさらぬように。この作戦は何度でもやり直せます。メローネ様の合図があれば、いつでも作戦は中止にして、一時撤退としましょう。よろしいですね、マテウス様」

「もちろんだ。君たちの安全が第一だからね。各自、無理はしないように」

(私を立てつつ確実にフォローしてくれる。レオニード、君を呼んで本当によかった。私だけでは正直ここまで出来なかった。君は本当に頼れる男だよ)

 レオニードはヨナを呼ぶと耳元で話しかける。

「機械人形の肩をよく見て、目を離さないでくれ。攻撃モーションに入る時は大体肩が最初に動く。それで攻撃がくるタイミングが掴めるはずだ。特に、大きく動いた時は、攻撃対象を変更する時だろうから、気をつけてくれ」

「わかりました、レオニード様。あとは、何が起きても大丈夫なように備えておきます」

「僕の言ったこと、覚えてくれていたんだね。嬉しいよ。緊張しないで、普段通りにね」

 そう言うとレオニードはヨナのお尻を軽く叩いた。

(変態じゃないとか言ってたのに、やっぱりお尻が好きなんだ……)

 レオニードとヨナが前に出ると、ガーネットは手を前に突き出して、青白い閃光を二人に放ってきた。

(すごい。レオニードの言うとおり、肩が最初に動いた。これなら確実に回避出来るわ)

 二人はガーネットの攻撃を回避しつつ、牽制として魔法攻撃を加えた。

 その攻撃はガーネットの防御魔法で防がれてしまった。

「機械人形が防御魔法を使えばそれだけ相手の魔力の残量が減る。回避しつつ攻撃を加えていくよ」

「了解です。魔法での攻撃を継続します」

 メローネは能力を使って姿を完全に隠すと、壁伝いに走り出した。

 メローネの能力は機械人形にも有効だった。

 メローネは自分が感知されていないことに安堵した。

(私がやらなきゃ。これは私にしか出来ないことだから。私がやるんだ。私は出来る。出来るよ。ね、マテウス様。マテウス様。マテウス様。あっ。ああっ。いや、いやあ、思い出したくないのに。あの言葉が、頭に浮かんでいくる。いやああああああああ!!!!!)

 メローネは錯乱して、自ら能力を解いてしまう。

「マズいぞ!!! メローネちゃんの能力が切れた!!!!!」

 ガーネットはメローネを感知すると、素早く手をかざして攻撃魔法を放った。

「かわせっ、メローネ!!!!!」

 錯乱状態のメローネは動くことが出来ない。

 しかし、メローネに攻撃が当たる直前に、ガーネットの攻撃魔法が拡散してメローネの周囲に弾け飛んだ。

 ガーネットの肩が大きく動いたことを見逃さなかったヨナが、攻撃対象がメローネに変わったことにいち早く気づき、とっさに高速で回転する円盤のような魔法をガーネットの魔法にぶつけて攻撃を拡散していたのだ。

 ガーネットは即座にもう一つの手を伸ばしてもう一度メローネに攻撃しようとするが、レオニードがガーネットに魔力を込めたナイフを投げつけ、攻撃を阻止する。

「よくやったヨナ!!! あとはまかせろ!!!!!」

 そのままレオニードは複数のナイフをガーネットに投げつける。

 レオニードはナイフを高速で回転させて、常にガーネットに向かうように魔法で操っていた。

 魔力を帯びて煌めきながら高速回転した複数のナイフが、ガーネットに向かって飛んでくる。

 ガーネットは自分の周囲に複数の光球を出すと、それをナイフにぶつけて撃ち落としていく。

 その隙に、気配を消したマテウスがメローネに近づいていた。

「メローネは僕が連れていく。君たちはもう少しだけ機械人形の相手をしてくれ!!!」

「了解だ。マテウス、メローネを頼む!!! そのまま入口まで走ってくれ!!!!!」

 マテウスはメローネを抱き抱えて、そのまま遺跡の入口へと走り出した。

(頭の中で貫通するイメージを持てば、私にも……)

 ヨナは、ガーネットの魔法を真似て、貫通するイメージを持った魔法を作り出して、ガーネットに攻撃した。

 ガーネットはヨナの魔法を防御魔法で防ぐ。

 ヨナの即席の魔法では、ガーネットの防御魔法を壊すことはできなかった。

(やっぱり、イメージだけでは無理か。威力を高める何かが足りないんだわ)

 しかし、時間稼ぎには成功して、マテウスとメローネが遺跡の入口に到達した。

「よくやったねヨナ。作戦成功だ。僕たちは撤退するよ」

 二人が遺跡の中に入るのを見届けたレオニードとヨナは、洞窟の外まで撤退した。

「あとは二人に任せよう。それにしても、ヨナ、君がいなかったら、作戦は失敗していた。本当にありがとう。君のおかげだ」

「いいえ、レオニード様。あなたの的確なアドバイスのおかげです。私はあなたに出会えて、本当によかったです。こちらこそ、ありがとうございました」

 ヨナはレオニードの手を取ると、自分のお尻までその手を移動してお尻を触らせた。

「……私も変態なのかもしれません。レオニード様にお尻を触られると、心が落ち着くようになってしまいました」