身体が成長しない魔法少女と見習い剣士の少年と二人の親友のウサ子お姉さんは本物の家族になりたい!

 三人を乗せたバギーが北の鉱山に到着した。

 この地方はローゼンブルグの中でも標高が高く、かなり寒い。

「僕らが思ってたより、ずっと寒いね」

「私の魔法でみんなの身体を暖めてるけど、これだけ寒いとあまり効果が無いみたい」

「もう少し厚着をしてくればよかった。山をなめていたわ」

「鉱山には無数の採掘坑があるわ。その中に入れば、外よりは暖かいはずよ」

「それにしても、採掘場って、意外と綺麗なんだね。僕、知らなかった」

「この辺りは石切場でもあるからね。ああ、ほんとに切り出された白い石の壁が綺麗に見えて美しいわ。私、こういうの大好きなの。だって、遺跡みたいじゃない?」

「アロウラは遺跡が好きなんだね。もしかしたら、本当に古代の遺跡があるかもしれないよ」

「そんな遺跡があれば、とっくに誰かが見つけているでしょう?ほら、寒いから早く坑道に入るわよ」

 アンナたちは持っていたランタンに火を灯す。

「坑道の中は酸素が薄かったり、有毒なガスが出ているところもあるかもしれないから、気をつけて進みましょう。有毒ガスを検知出来る魔道具みたいなものがあれば最高だったんだけど、そんなものは持ってないから、私の魔法でなんとかするしかないの。そこで、これを使うわ」

 そういうとアンナはバッグから瑠璃色の宝石のついたペンデュラムを取り出した。

「それって、ペンデュラムでしょ。あ、先端についてるのはラピスラズリだ。綺麗な石ね」

「そう、これはダウジング用のペンデュラムよ。先端にあるラピスラズリには、魔力を受けると探知の感度を高める効果が付与されているわ。このペンデュラムに私の魔力を流しながら、ダウジングをするの。周囲が危険な状態になると、この石が大きく揺れ動いて私たちに危険を知らせてくれるわ。そうしたら三人ですぐにその場を離脱するわよ。いいわね?」

「うん、わかったよ。でも、すごいねアンナ。まるで洞窟探検の専門家みたいだね」

「洞窟探検を甘く見ない方がいいからね。水と食料も貴重だから、なるべく無駄に消費しないようにしないとね。それとアロウラ、あなたの耳で洞窟内の魔物を探知出来るかしら?出来れば早めに対処したいから」

「まかせてよ。今のところ、この近くに魔物はいなそうね」

「敵がいたら、大体の位置を教えてくれる?遠隔操作出来る攻撃魔法で相手に近づかれる前に攻撃してみるわ」

「うん、わかった」

「よし、それじゃあ、出発するわよ」

 坑道の中には沢山の蛍石が落ちていた。

 昔、ここで金を掘っていた人たちには、この石の価値が分からず、その場に捨てられていたからだ。

「蛍石、大量にあるね。どうしようアンナ」

「私に鑑定のスキルは無いから、一つずつ魔力を流して効果を確かめていくしかないわね。でも、一つずつは面倒だから、とりあえず全部の石に一度に私の魔力を流してみて、それらしい効果が出そうなものだけ選んで持って帰りましょうか。めぼしいものは帰ってからもう一度詳しく調べてみるわ」

 その時、アンナの脳内に、以前にここを訪れて、鉱山の最奥にある、坑道ではない古い洞窟に入っていったような感覚が流れ込んできた。

(あれ?私は以前にも、この場所に来たことがある気がする。確か、鉱山の一番奥にある洞窟の中に女神像があって、そこで女神様にお祈りしたような……初めてきたのに、どうして?)

「アンナ、どうしたの?急に考え込んで」

「今、以前にここに来たことがあるような感じがしたの。初めてのはずなのに。何故かしら?」

「それってデジャブってやつでしょ?そんなに珍しいことじゃないんじゃない?」

「それならいいんだけど。何故か、この鉱山の一番奥にある洞窟に女神像があって、そこで昔お祈りをしていた気がしたの。気のせいだと思うんだけどね」

「実際に鉱山の奥にいって確かめてみればいいんじゃない?本当に洞窟があって女神像があるかもしれないし。これって何かのメッセージなのかもしれないよ」

「……そうね。実際に行って確認してみましょう」

 三人は一旦坑道から脱出して、鉱山の奥へと向かった。

「やっぱりあった……」

 そこには周りの坑道とは明らかに違う、古い時代のものと思われる洞窟があった。

「どうする?とりあえず入ってみようか?」

「そうね。中を確認してみましょう」

 周りの坑道とは違い、洞窟内は神聖な雰囲気すら感じられた。

 その奥には、等身大の女神像が安置されていた。

 このローゼンブルグでは、女神はあまり信仰されていない。

 女神像があること自体が珍しいことだった。

「へえ、綺麗な女神様だね」

(やっぱり、私はこの像を一度みている気がする……いつなんだろう?思い出せないな……)

「静かにして、クロウド」

 クロウドを静止したアロウラは、耳を澄ませていた。

「聞いて。ここの地下に何かがあるわ。機械のようなものが動いている音がするの」