身体が成長しない魔法少女と見習い剣士の少年と二人の親友のウサ子お姉さんは本物の家族になりたい!

 しばらくすると、クロウドがアンナを連れてやってきた。

「大丈夫、アロウラ?」

「ええ、大丈夫よ。アンナにも付き合ってほしいんだけど、いいかしら?」

 アロウラは何か言いたそうなアンナに目で合図を送っている。

「……わかったわ。それじゃあ、このまま武器を見に行きましょう」

 アロウラはあえてその場ではメローネのことは話さなかった。クロウドが寝静まったあとに、アンナに話そうと考えていたからだ。

 アロウラは二人の手を握ると、そのまま三人で武器を探しに行くことにした。

◇◇◇

 街の人から商店街に武器屋があることを聞いた三人は、その武器屋を訪れていた。

「やっぱり私はこれにするわ」

 アロウラは数ある武器の中から弓矢を選ぶ。

「やっぱり弓矢を選んだんだね」

「私は耳で敵を探知出来るから、それにあった武器を考えると、弓矢が一番あってるのよ」

 その時、アロウラは何気なく目に入った一つのナイフが気になった。

(この縞模様は確か、ウーツ鋼だ。初めてみたけど、綺麗ね。こんなお宝があるなんて)

 このナイフは、刀身に特有の縞模様が入った希少なウーツ鋼から作られた刀剣である。
 
 ウーツ鋼は、またの名をダマスカス鋼という。ウーツ鋼から作られた刀剣は強靭で決して刃こぼれすることが無く、その鋭い切れ味はまったく衰えず、そして、永遠に錆びることは無いという、夢のような武器。
 現在では誰もその製作方法がわからず、作ることができないことから、幻の刀剣と呼ばれていた。

(ここの店主が武器について詳しくなくてよかった。だってこれ、こんな値段で買えるような代物じゃないもの)

「あの、これくださいな」

 アロウラはすぐにこのナイフを購入する。

「へえ、アロウラがナイフを選ぶなんて珍しいわね」

「まあね。でも、このままだと射程負けするから、これは槍の素材にしようと思うの」

 アロウラはこのナイフに長い柄をつけて槍に改造することを考えていた。

「ということで、手頃な槍もくださるかしら?」

 アロウラは改造の素材用に槍も購入した。リーチが長い方が、彼女にとって扱いやすいと感じたからだ。

(この槍の刃先を、ウーツ鋼のナイフと交換すればいい感じの武器になりそうね)

 買物が終わり、三人が街の外れまで歩いていくと、かつて使われていた魔道具がガラクタ同然に捨てられているのを見つけた。
 魔道炉が壊れてしまった今、魔道炉から送られてくる魔力を動力に動いていたこれらの道具は使い物にならないため、この街の住人にとってはガラクタと同じゴミだった。

 アンナは、その魔道具の中から、スマートボードを選び出して拾い始める。
 スマートボードは、この国でかつて使われていた、魔力で動くスマートフォンのようなものだった。

「スマートボードか。懐かしいわね。でももう使えないでしょ。そんなもの集めてどうするの?」

「私の魔力を流し込んで無理矢理起動させるのよ。中に何か有用な情報が残ってるかもしれないでしょ」

「ああ、確か写真や動画も撮れたんだっけ。それを確認するのか。なるほどね」

 魔道具は自分の魔力を流し込むことでも動くが、魔物化が進行してしまうので、この国の普通の人間はその方法は実行しなかった。
 だから、ガラクタとして、魔道具は捨てられていたのだ。

 アンナはスマートボードをあらかた拾い集めると、その近くにあった大きな乗りものに近づく。

「こんなものまで捨てられているとはね。動くのかしら?」

「ちょっとアンナ。それ、バギーっていう車でしょ。そんなものどうするの? 本当にそれ、動かす気?」

 このバギーには魔力で動く動力装置が載せられている。
 魔道炉から無限に魔力が国中に送信されていたころには、どこにいても魔力は使い放題で、この車でどこまでもいくことができたのだ。

「私の魔力でお腹が限界まで膨れるまでこのバギーを走らせてみるわ。これがあれば一気に遠くまで進めるもの。なんとか三人乗れそうだし、やってみる価値はあるわね」

 魔力で動くバギーに、アンナ自身の魔力を注ぎ込んで、限界まで動かそうというのだ。

「やっぱりアンナって、とんでもないことを思いつくわね。それで、こいつでどこにいこうっていうの?」

「この国の北の果てよ」

 アンナはこのバギーでローゼンブルグの最北にあるとある廃坑を目指すという。この国では、北部に金の鉱脈が走っていて、金の採掘坑がたくさん存在したが、今ではその多くが廃坑となっている。

 そこに、彼女のお目当ての、魔素を無毒化出来る触媒があるかもしれないというのだ。