20⬛︎⬛︎/4/26.
天気:晴れ/風速:3m/s
場所:キョートフ.エリア6.路地
:城戸小太郎
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背の高いビルが行儀よく並んでいる街のメインストリートを超え、様々な商店の並ぶ大通りから少し道を逸れると、今度は背の低い建物が雑多に並ぶ道に出る。
プラスチックめいた絵の具で描いたように、色とりどりにごちゃごちゃとしたこのスラムのような場所を、城戸はどうも嫌いになれずにいた。
ふと隣を歩く白い影が、心配そうにこちらを見上げているのに気がついた。彼はどこか不安そうな顔色を隠すこともなく、白いフードの奥から除く綺麗な瞳を城戸に向けている。
「どうかしたのかい? 」
「先生、疲れた?顔色悪い 」
「なに、そんなに気に病むことではないよ。だが、そうだね……流石に、少し休もう 」
「二日、休もう 」
「いや、二日は多すぎる。半日でいいんだ 」
「せめて一日…… 」
「……そうだね。明日一日、休むとしよう 」
「そうして 」
黒いコンクリートの道を歩くブーツの音が、どこか軽くなる。柔らかくはためく上着の動きや、フードから零れた髪の揺れを見るに、ご機嫌な様子だ。
いつぶりかもわからない城戸の休みが嬉しいらしい。
優しい子だ、と思う。整った美しい容姿も相まって、彼にとんだ間違いを起こす輩が湧くのも、ほんの少し頷ける。
「楠見くん 」
名前を呼ぶと、すぐに「はい、先生 」と振り返る。無垢で無機質な瞳が、城戸に向けられる。
本当は、その目に映るのは私のような男ではなかったろうに。
と心の中で燻る罪悪感にも似た後ろめたさを誤魔化すように、笑顔を浮かべる。
「キミも明日一日休むといい。働き詰めだったろう? 」
そんな城戸の言葉に、楠見は優しく微笑みを浮かべた。愛らしい白い頬が、蛍光色のライトを反射して、うっすらとピンクに染まっていた。
「うん、そうする。なにしよう?先生も、なにかするの? 」
ぱっと表情を明るくし、珍しく一度に沢山話す楠見の姿に、城戸は微笑みながら小さく相槌を打った。

