春の思い出を求めて

 私の作品の「イリュミナシオン」はランボーからとっている。アメリカ映画のランボーじゃない。とはいえ、ランボーはよくできている作品だ。単なる郡保安官を無双する話ではない。ベトナム帰還兵問題を扱った作品だ。まるでウィトゲンシュタインと本居宣長を混ぜたようなユニバース。私たちはこれを「春の思い出」と呼ぶ。そこにはリンとスヨンが腕を組んで田舎道を歩いている。二人は友人同士で同僚でもある。いつまでもポーコックとコリングウッドばかり読んではいられない。アメフトをするためにタンカーを砂漠で曳航し、交響楽団のコンマスにならねば。目が覚めた。いったいなんのことかわからない。リンとスヨンは水星のアセチレン皇帝に謁見していることだ。もう夜になっていた。空を見上げると無限の星々が広がっていると思っていた。が、誤算だった。今日は曇天だ。8091年前なら春の思い出は銅貨を孵化させれば容易に手に入った。桜は散っている。