その湖辺(うみべ)にあるちいさなレストランには、メニューがひとつしかないという。 ────音味(おい)しい料理。 ただ、それだけ。 いったいどんなご馳走だろうかと、訪れた客はみな期待に胸を膨らませる。 しかし、大抵はがっかりするのだ。運ばれてきた料理を目にして。 それは、人生にどこか似ている。 「食べてごらん」と促され、ようやく口にしてみれば……きっと誰もが思うはずだ。 悪くない、と。