あなたを追って、その先で

 新しい地に身を置いて、ようやく3週間。

 私は何にもなれずにまたここで生きていく。また繰り返している。

 つまらない、訳ではない。

 コマーシャルで流れる芸人のネタには薄ら笑いを浮かべるし、朝見かけた猫の喧嘩にも不意に口角が上がった。

 ふと訪れるものが、面白いと言う感情なら。これは偶然なのか。

 私は出来る限り笑わないようにしているのだ。

 それが妥協ということ。

 ではこの妥協に、終わりがあるのか。

 社交辞令の笑みを浮かべる有象無象を、心の中で同情する日々に、終わりはないのか。

 ただ、それ以上に美しいものだけがあればいいと思う。たったこれだけ望んで、妥協すると言うのに、私は傲慢だと罵られる。

 それならここに私のいる意味などないのだ。

 無意味に何億回も呼吸するくらいなら、さっさと息をするのすら忘れて笑っていたい。

 昔の人々は、天国には美しいものだけが存在すると信じていたと言う。

 私は強ち、否、間違っていないと思う。

 ここには汚いものだらけで、誰もが鬱屈や嫉妬を抱えて生きている。

 私もそうだ。それが何より私が生きている証拠なのだから。

 ああ、早く。辿り着く前に知りたい。

 この妥協の人生に終わりがあって、これが傲慢でなくて、美しいものを拾いきれないほどこの両手に零れ落ちること。

 それが、私のこの人生の目的だ。