恋人は、あまえた(元)優等生。



「って、もう知ってるか」
「まーな」

自惚れじゃない。即答できるほどには、毎日甘やかされていた。

あと、地味に愛が重かったりするし。

でもそれは俺も同じだ。月仁に堂々と甘えられるようになったけど、そのぶん妬くことも増えた。

近付けば近付くほど火傷する、眩い存在。
やっぱり、誰かに攫われるのは耐えられない。

「俺も月仁が好き。もう百回ぐらい言ってるけど」
「そうだな。これからは毎日聞けると思うと、幸せ」
「毎日言うこと前提かよっ」

もちろん良いけど。
彼の膝に跨り、肩に手を添える。

「じゃあ、ちゃんと捕まえて。……離さないでよ」
「当然。子どものときは何もできなかったけど。本当は、初めて会ったときからそのつもりだった」

儚くて、触れたら壊れてしまいそうな男の子。

彼を守り抜いて、笑顔にしたいと思った。
それが今では、自分の方が────。

「お前はいつまで経っても俺のお姫様だよ」
「そ、そういうのは思っても心の中だけにしろっ」
「無理だな。照れてるところが可愛いから」

月仁は深白の顎を掠め取り、唇を重ねた。
この温もりを失わないように。長く、深く溶け合っていく。

「ん……っ」

一緒に過ごす度に……触れ合う度に、固めた壁が一枚一枚崩れていく。
最後に残ったのは、泣き虫で寂しがりな自分。

こんな姿見せたくなかったけど、ほんとはずっと暴いてほしかった気もしてる。謎過ぎだ。

でもひとつだけ言えるのは、俺はずっと月仁が好きだったということ。
傷つくのも傷つけるのも怖くて動けなかった俺を、彼はいとも簡単に抱き上げてくれた。

どんどん惚れて、深みに入ってしまいそうで怖い。

「深白」

でも彼は、そんな俺の不安も取り払ってしまう。

「大丈夫。心の準備だけしておいて」
「準備。って、何の」
「俺に愛される準備」

はぁ〜……。

もはや感嘆のため息だ。自信満々というか、余裕たっぷりというか。

もう、その全てが愛おしい。

「……わかった! 覚悟しとく」

今度は俺から彼の額にキスし、微笑んだ。

「月仁。これからも、末永く宜しく」
「あぁ。愛してるよ、深白」

まだまだ明日の景色も見えてない。
でも俺達の想いは、長い年月をかけて成長した。誰にも打ち明けないまま、暗い土の中に埋めていたけど……少しのきっかけで芽を出し、光を浴び、花を咲かせる。

きっと皆そうなんだ。ほんのちょっとの我儘と、勇気があれば。

これから先も甘やかしてきそうな、大事な恋人。倒れることも構わず、最大限の力で抱き着いた。