同じ部活のイケメンが片想い切符を大切にしてた

2025/5/16(金)
 
体育祭を明日に控えた今日。

俺と結城の関係は進展も後退もせず、現状維持。

会場の設営担当になった俺たちは、ぶつくさ文句を言いながらテントを立てていた。

「テント多くねえか」
「来賓用も俺らが立てるのまじで納得いかねえんだよな」
「先生たちが勝手に呼んでんだから、先生が立てて欲しいよな」
「いやマジでそれなんだよ」

山口、五十嵐は来賓用のテントへ文句を言いながら、効率よくテントを立てている。

なんだかんだ言いながら、仕事はこなす2人。

「おい!百瀬ー!!!」
「なになになに、そんなに距離離れてないでしょ」
「ごめん!!!あれ、ラスト1個だって、俺らもやっちゃおうぜ〜」

指さした先には、少ない人数で頑張って設営しているテントがあった。
人数が多いに越したことはないだろう。

「そうだな、行こう」
「もう、結城は手伝いに行ってるから」

やっぱりモテる男は違うな、気付いちゃうんだよね。

困ってる人がいることに。

そういう所が…

そういう所が…??

いや、そういう所が何??

俺は今何を考えようとした??

危ないってば。

__

「よいしょ…」
最後、テントの布部分の紐を鉄骨部分に結びつける作業

大きいテントだからか、ある程度高さがある。

でも、届かない…とかそんな可愛いことが起こる訳もない。
こちとら、172センチあるんだよ。

そう思いながら、
淡々と結んでいっていた。

「完成!」
「終わった〜」
「帰れる??」
「百瀬はすぐ帰ろうとするよな!!」
「疲れるじゃん、俺体力ないもん」

『はい集まって〜!!』

新しい仕事が与えられるのではないかとビクビクしながら先生の元へ集まる

『今日はお疲れ様でした。会場設営はこれで終わりになります。協力ありがとね。なので、今日は解散!明日に控えてゆっくり寝ること!』

良かった〜
とうの昔に体力を使っていた俺は、へろへろで帰路につこうとしていた。

「遥斗、明日寝坊しないようにな」
「小さい子じゃないんだから、楽しみすぎて寝れないとかならないよ」
「でも、念願の借り物競争でしょ」
「うっ…確かに。しっかり寝てきます」

確かに、今のうちからウキウキしてることに変わりはない。
こんなに楽しみだったんだって、俺自身ビックリしてる。

「よろしい」
「あ、てか明日は携帯OKなんだっけ」
「そうそう、写真いっぱい撮りたいね」
「携帯忘れないようにしないと」
「遥斗なら有り得るよ、気を付けてね」
「分かった分かった、もうお母さんじゃん」
「おい」

そう言って笑い合う。
この時間が一生続けばいい。

これ以上は望まない。

友達が1番。

結城もあの日以来特に何も言わないし、してこない。

あいつもきっとこれ以上は望んでない。

うん、そうだよきっと。

とりあえず、全て忘れて明日楽しもう!

あ、そういや、部活動対抗リレー誰が出るんだろ。

俺声かかってないけど!!!!