④
昼休み。
移動教室から戻ると、僕のカバンが無かった。どうして? 僕は疑問だらけになりながら無意識に机の中を見た。机の中に覚えのないメモがある。心臓がバクバク鳴る。震える手で、二つ折りのそれを開いた。
『昼休みにB棟の二階外階段に来い』
一言書かれている。女子の字だ。告白とかそんな感じじゃないのは、僕にも分かる。
カバンにはお祖母ちゃんのカーディガンが入っている。あのカーディガンは、お祖母ちゃんのお気に入りだ。汚されたら困る。慌てて外階段に向かった。
「あ、来たじゃん」
「早かったねぇ」
「ここ、あっつい。早く済まそ」
ジュースとパンやお菓子を立ち食いしている女子たちがいる。陽が当たるから暑い日は誰も来ない外階段。
「影山、ちょっと言いたいことあってさぁ」
僕のカバンは女子の足元に置いてある。彼女たちは、時々僕に悪意の悪口を向けてくる四人組。
――僕、何もしてないと思ったけど、何かした? 僕のカバン、どうして?
喋りたいことはあるのに、緊張で口が震えて声が出ない。
「もー、立ってるだけでキモイんだけど」
リーダー格の井上さんは僕より五センチ以上背が高い。他の三人は僕と同じくらい。迫力が、怖い。この雰囲気だけでも身体が震える。化粧と香水の強い匂いが鼻につく。
「最近、ガッチャンと仲いーじゃん?」
井上さんが顔を斜めにして僕を睨む。
「気に障るんだよ。影山のくせに、何調子こいてんだよ!」
肩をどつかれる。よろける。恐怖で動けない。
「男だろうが。なよってんじゃねーよ」
笑い声。
――何? 僕が和田君と仲良くしたからいけなかった? クラスのみんなほど仲良しじゃないよ。
考えがグルグル回る。よく分からない。
「ガッチャンに取り入って、自分も人気者気取りかよ! 何がアイドル男子だ! オカマかよ! 気持ち悪いんだよ!」
何か怒鳴るように言われるが、頭に入ってこない。身体の震えが止まらない。どうしよう。カバンを返してほしいのに、言えない。汗が止まらない。
「なんか言えよ! お前、ほんとキモイ。女物の服なんて持ち歩いて! クラスのみんなに女装趣味の変態って言いふらしてやろっか?」
「うわ、キモイ服。ババァかよ」
「趣味悪すぎでしょ~~」
僕のカバンのビニール袋から、お祖母ちゃんのカーディガンが出されている。それは、ダメだ。
「か、返して、ください。返して」
手を伸ばすが井上さんが高くにあげてしまう。僕は必死に追いかけた。
「近づくな! キモイんだよ!」
ドンっと突き飛ばされた。
――あ、空が見えた。
背中に重力がかかる。そのまま仰向けに階段を落下する。ゴチンっと衝撃が走った。頭がガンガンする。身体中が熱くて痛くて、動けない。日光が強い。目が回る。
「やだ! 知らない!」
「あ、ちょっと~!」
複数の声と足音が耳にワンワン響く。
――ちょっと、待って。お祖母ちゃんの、服は?
昼休み。
移動教室から戻ると、僕のカバンが無かった。どうして? 僕は疑問だらけになりながら無意識に机の中を見た。机の中に覚えのないメモがある。心臓がバクバク鳴る。震える手で、二つ折りのそれを開いた。
『昼休みにB棟の二階外階段に来い』
一言書かれている。女子の字だ。告白とかそんな感じじゃないのは、僕にも分かる。
カバンにはお祖母ちゃんのカーディガンが入っている。あのカーディガンは、お祖母ちゃんのお気に入りだ。汚されたら困る。慌てて外階段に向かった。
「あ、来たじゃん」
「早かったねぇ」
「ここ、あっつい。早く済まそ」
ジュースとパンやお菓子を立ち食いしている女子たちがいる。陽が当たるから暑い日は誰も来ない外階段。
「影山、ちょっと言いたいことあってさぁ」
僕のカバンは女子の足元に置いてある。彼女たちは、時々僕に悪意の悪口を向けてくる四人組。
――僕、何もしてないと思ったけど、何かした? 僕のカバン、どうして?
喋りたいことはあるのに、緊張で口が震えて声が出ない。
「もー、立ってるだけでキモイんだけど」
リーダー格の井上さんは僕より五センチ以上背が高い。他の三人は僕と同じくらい。迫力が、怖い。この雰囲気だけでも身体が震える。化粧と香水の強い匂いが鼻につく。
「最近、ガッチャンと仲いーじゃん?」
井上さんが顔を斜めにして僕を睨む。
「気に障るんだよ。影山のくせに、何調子こいてんだよ!」
肩をどつかれる。よろける。恐怖で動けない。
「男だろうが。なよってんじゃねーよ」
笑い声。
――何? 僕が和田君と仲良くしたからいけなかった? クラスのみんなほど仲良しじゃないよ。
考えがグルグル回る。よく分からない。
「ガッチャンに取り入って、自分も人気者気取りかよ! 何がアイドル男子だ! オカマかよ! 気持ち悪いんだよ!」
何か怒鳴るように言われるが、頭に入ってこない。身体の震えが止まらない。どうしよう。カバンを返してほしいのに、言えない。汗が止まらない。
「なんか言えよ! お前、ほんとキモイ。女物の服なんて持ち歩いて! クラスのみんなに女装趣味の変態って言いふらしてやろっか?」
「うわ、キモイ服。ババァかよ」
「趣味悪すぎでしょ~~」
僕のカバンのビニール袋から、お祖母ちゃんのカーディガンが出されている。それは、ダメだ。
「か、返して、ください。返して」
手を伸ばすが井上さんが高くにあげてしまう。僕は必死に追いかけた。
「近づくな! キモイんだよ!」
ドンっと突き飛ばされた。
――あ、空が見えた。
背中に重力がかかる。そのまま仰向けに階段を落下する。ゴチンっと衝撃が走った。頭がガンガンする。身体中が熱くて痛くて、動けない。日光が強い。目が回る。
「やだ! 知らない!」
「あ、ちょっと~!」
複数の声と足音が耳にワンワン響く。
――ちょっと、待って。お祖母ちゃんの、服は?


