「白石さんの親子は春に引っ越したでしょう。実は、後藤さんの隠し子なんですってよ。人気俳優の若い頃にソックリでおまけに成績もいいじゃない。ほら、後藤さんの坊ちゃん、喧嘩は強いけど勉強はちょっと苦手でスポーツ馬鹿って感じでしょう。後藤さん、あんなのオレの息子じゃないって嘆いていた事もあるそうよ」
おばさんはペラペラと澱みなく喋り続けている。
「愛人の息子の方が優秀なのよ。だから、後藤さんの奥さんは色々と悔しかったんでしょうね。奥さんは、あんな子を絶対に認知させないって、常々、言ってたそうなのよ。遺産相続なんてさせたくないようにするにはどうしたらいのかって、弁護士を相手に言っていたらしいわよ。でも、どう頑張っても、親子だと裁判所が認めたら財産は相続するみたいね。でも、白石さん達は、どういう訳が雲隠れしちゃって、どこにいるのか、だーれも知らないのよ」
えっ? オレは衝撃を受けて立ちすくむ。まさか……。白石と後藤は腹違いの兄弟だったなんて誰が予想するだろう。
頭の中が真っ白になるような感覚に包まれて呆然となる。
まさか、そういう理由で虐められていたなんて……。でも、白石から、そんな話を聞いた事がない。
初めて、白石の母親を見た時、彼女は自宅にいて身支度しているところだった。神社から近い古い日本家屋に彼等は住んでいた。元々は、白石の祖父母が暮らしていたのだ。つまり、ここは白石の母の実家だ。
キッチンに立っている白石の母はノーメイクだった。宝塚出身の女優さんのようにスラリと背が高くて綺麗だった。
『あら、いらっしゃい。はじめまして。坊や、お名前は?』
『葭原和哉です』
背徳の香りがして子供ながらに胸がザワザワしてきた。白石の母は、いい匂いのするストレートの茶色の髪を揺らしながら、愛しげにオレの頬をスルリと撫でる。
『葭原君、いつも、うちの子と遊んでくれてありがとう。お菓子を買ってあるわよ。二人で食べてね。泊まってもいいのよ……』
そう言って、身支度をしてから出勤していたのだが、子供だった当時のオレでさえも鼓動がバクバクするような気だるい色気があった。後藤の親父が手玉に取られるのも無理はない。
『僕のママは後藤の父親の愛人なんだ。だから、後藤が僕を忌み嫌うのも無理ないんだよ。後藤の両親は離婚の危機に陥っている』
白石は、中学三年の冬に自分の家庭について教えてくれた。そう言えば、派手なスポーツカーの助手席に白石の母親を乗せてドライブしている姿を見かけた事がある。
それにしても、まさか、白石が後藤と血が繋がっているなんて……。そんなことは信じたくなかった。だって、白石と後藤の父親は一ミリも似ていないじゃないか……。
最近、人気俳優の隠し子説が、クラスの女子の間で広まっている。そっちの説を信じたい。
おばさんはペラペラと澱みなく喋り続けている。
「愛人の息子の方が優秀なのよ。だから、後藤さんの奥さんは色々と悔しかったんでしょうね。奥さんは、あんな子を絶対に認知させないって、常々、言ってたそうなのよ。遺産相続なんてさせたくないようにするにはどうしたらいのかって、弁護士を相手に言っていたらしいわよ。でも、どう頑張っても、親子だと裁判所が認めたら財産は相続するみたいね。でも、白石さん達は、どういう訳が雲隠れしちゃって、どこにいるのか、だーれも知らないのよ」
えっ? オレは衝撃を受けて立ちすくむ。まさか……。白石と後藤は腹違いの兄弟だったなんて誰が予想するだろう。
頭の中が真っ白になるような感覚に包まれて呆然となる。
まさか、そういう理由で虐められていたなんて……。でも、白石から、そんな話を聞いた事がない。
初めて、白石の母親を見た時、彼女は自宅にいて身支度しているところだった。神社から近い古い日本家屋に彼等は住んでいた。元々は、白石の祖父母が暮らしていたのだ。つまり、ここは白石の母の実家だ。
キッチンに立っている白石の母はノーメイクだった。宝塚出身の女優さんのようにスラリと背が高くて綺麗だった。
『あら、いらっしゃい。はじめまして。坊や、お名前は?』
『葭原和哉です』
背徳の香りがして子供ながらに胸がザワザワしてきた。白石の母は、いい匂いのするストレートの茶色の髪を揺らしながら、愛しげにオレの頬をスルリと撫でる。
『葭原君、いつも、うちの子と遊んでくれてありがとう。お菓子を買ってあるわよ。二人で食べてね。泊まってもいいのよ……』
そう言って、身支度をしてから出勤していたのだが、子供だった当時のオレでさえも鼓動がバクバクするような気だるい色気があった。後藤の親父が手玉に取られるのも無理はない。
『僕のママは後藤の父親の愛人なんだ。だから、後藤が僕を忌み嫌うのも無理ないんだよ。後藤の両親は離婚の危機に陥っている』
白石は、中学三年の冬に自分の家庭について教えてくれた。そう言えば、派手なスポーツカーの助手席に白石の母親を乗せてドライブしている姿を見かけた事がある。
それにしても、まさか、白石が後藤と血が繋がっているなんて……。そんなことは信じたくなかった。だって、白石と後藤の父親は一ミリも似ていないじゃないか……。
最近、人気俳優の隠し子説が、クラスの女子の間で広まっている。そっちの説を信じたい。
