あなたへ

我思う、故に我あり。

何処かの偉い人はそう言った。

なら、考えるのを止めたら、私は私でなくなるの?

そう口にすると、”誰か”は現れる。

君の願い、叶えてあげるよ_______。

それは何度も、繰り返す。

また、同じ夢を見ていた。

目を開けると、変わり映えしない天井。

不思議な色の光が窓から差し込む。

「今日は…紅と、蒼??」

カーテンを開けると、眩く光る二つの月。

紅い月と、蒼い月。

悪い予感が当たった。

今日の陸路は使い物にならない。

思わず溜息が漏れる。

なんで、今日に限って。

くさくさしててもしょうがないから、戸棚からパンを出して、齧り付く。

うん、やっぱりこの世界のパンは美味しい。

着替えて、空飛ぶ箒を手に取る。

外に出て、跨り、唱える。

飛べ(アルマ)!」

ドラゴンたちの吹く火の玉を水槍(ウォーターランス)で消火しながら、最短ルートを突き抜ける。

見えた。

森の中にある、大きな、お屋敷。

真上まで来ると、くるりと一回転して、着地。

目の前には、優しそうな蛙のおばさま。

「ご依頼ありがとうございます。魔導士ミルナと申します。」

魔導士。

それが、私の仕事。