神様たちの歌 〜その歌は永遠に届け〜

「...瑚白、舞白。そして星牙に冬麗。」
最高神が裁判所で名を呼ぶ。
「...はい。」
あの後、星牙と冬麗は神として蘇った。だが、その後裁判官たちに捕らえられてしまう。そして、大神である彼女たちは、最高神が直々に裁くことになったのである。
「そなたらは、何故...」
何故、このようなことをしたのか。最高神は目でそう問うていた。
罪人となった彼女たちは、笑顔を見せて答える。
「罪人となれど、愛する気持ちには嘘をつけないのです。」
「私達は、正しい選択をしたと胸を張って言うことができます。」
わずかに、最高神が微笑んだような気がした。まるで、幼い恋を見守るような暖かい笑み。けれど、笑みはすぐに消えて元の哀しげな雰囲気をした無表情へと戻る。
「瑚白に舞白...。そなたたちは、愛のためとはいえ神の禁忌に触れました。その罰として、神格の剥奪ののち転生させます。そして、それは星牙と冬麗も同様です。」
静かに頷く四人。
その時、誰かが飛び出した。
「お祖母...いえ、最高神様。それは、あまりにも無道ではありませんか!瑚白様と舞白様は罪を犯しましたが、星牙様と冬麗様に決定権はなかったのでしょう?ならば、減刑すべきです。」
最高神の孫、璃子(りこ)であった。彼女は神の位を持っているが、最高神の孫でありながらその地位は低いため、皇族としての後ろ盾もおらずに軽蔑されていた。さらに彼女は星牙と冬麗のファンであり、いずれは許嫁になるものと思い込んでいる。そのせいか、瑚白と舞白にも辛く当たり、星牙と冬麗にばかり肩入れしていた。
それが返って冬麗たちに「立場を理解できていない」と憐れまれているが、当人だけは気づいていなかった。
このときも、冬麗たちは迷惑そうな目で璃子を見ており、気づいた最高神は思わず笑ってしまいそうになった。
「璃子。良いですか、禁忌に触れるというのは、それ程重い罰となるのですよ。それに、禁忌の魔法は返上することもできるのです。貴女はよく星牙と冬麗を庇っていますが、そのようなことも知らぬのに首を突っ込むのはおやめなさい。」
彼らは返上しなかった。つまり、彼女たちとともに罰を受けるということ。そう最高神は言外にそう言った。
璃子はまだなにか喚いていたが、彼女の側近に連行されていく。
「ああ、それと。瑚白と舞白の両親は事故で死んだため不問としますが、側近たちは監督が行き届かなかったとして、同じ罰を与えます。」
傍にいた側近たちは、哀しげな笑みを称えた。そして、瑚白たちへ身体を向ける。
「仕方が有りません。皇女様方は、常に皇太子殿下方を大切に思ってらっしゃいました。もし、殿下たちが戦にて討ち死にされたら、こうなるだろうとは思っておりましたが...予想よりは早うございましたね。」
僅かに瑚白たちは顔をうつむかせる。彼女たちを巻き込んでしまったことに、罪悪感を感じているのだ。
だが、やがてまっすぐと彼女たちを見て、告げた。
「そなたらを巻き込んでしまい、大変すまない。だが、こんな私達にも尽くしてくれたこと、礼を言う。」
「君たちは、いつも俺達に尽くしてくれたでしょ?恩を仇で返しちゃって、ごめんね。」
僅かに微笑んで、側近たちはその場を後にした。
「星牙に冬麗。お前たちも早々に罰を受けるように。瑚白と舞白は残れ。」
心配そうに瑚白と舞白を振り返り、星牙と冬麗は消えていった。
「...最高神様。何か...?」
扉がパタンと閉まったのを確認して、舞白が尋ねる。自分たちが何故残されたのかを考えているようだった。
「あなた達の悲劇は、私達の責任でもあります。」
何年経っても変わらない、神々らしい顔に憂いを滲ませ、最高神はそっと息を吐く。
そして、言葉は紡がれる。
「本来ならば、永遠の罰を与えるところですが——減刑として、記憶が唯一戻る来世の間に星牙と冬麗に想いが通じ、彼らの記憶を戻すことができたならば、側近たちを含め、神格を戻してそれぞれと縁を結ばせましょう。」
縁を結ぶ、つまりは結婚するということ。
言われた意味を理解した二人は、歓喜の表情を浮かべる。
「ありがとうございます!!」

「罪人・瑚白、舞白の罰を、只今執行する!」
そうして転生するときも、彼女たちは喜びの感情に支配されていた。