神様たちの歌 〜その歌は永遠に届け〜

ここは、神様たちが暮らす神界。
地上と同じように、この神界でも争いは起きている。
大昔、最初の神が生み出した六人の子供は、いがみ合ってそれぞれの国を造った。
そして、各々がその地の最高神として君臨し、たくさんの種族を生み出して反映させることになった。
時は流れ...
6つの国の一つ、煌魔帝国(こうまていこく)は様々な種族が共存する美しい帝国となる。
やがて煌魔帝国も分離し、たくさんの属国ができた。
けれど、煌魔帝国の近くにある魔鎧王国(まがいおうこく)は、それを快く思わず、魔鎧王国は煌魔帝国に争いを仕掛けるようになる。
その中で、ある悲劇は起きた。

「火の勢いが強い...!」
煌魔帝国の騎士団団長・冬麗(とうり)が叫ぶ。
傍にいた副団長、星牙(せいが)も同意する。
「魔鎧王国の奴ら、瑚白(こはく)舞白(ましろ)がいない隙を狙ったな。」
瑚白と舞白。最年少にして帝国最強と謳われるほどの実力を持つ双子の氷神。彼女たちは冬麗よりの強いというのに、あえて騎士団に属さずに自由を貫いている。
二人がいれば決してこのような無様な負け方はしない。けれど、今二人は辺境の戦地に駆けつけていた。被害は甚大ではないというのに、あちらの領主が強く望んだ事により出向いているのだ。
星牙はその事も、魔鎧王国の戦略であり領主が裏切っているのではないかと懸念していたが、この状況から考えて推測は当たっていた、と考えるべきだった。
いずれにせよ、この状況は好ましくない。冬麗は騎士団団長であると同時に、煌魔帝国の属国の皇太子でもあるのだ。この状況で冬麗を失えば士気は下がり、敗北は決定的だった。
星牙は一瞬で思考を終え、目の前の敵へ意識を向ける。

確固たる意思を持って望んだ戦いだったが、騎士団はもう壊滅まで追い込まれるほどの被害を負い、状況は悪化していた。
そして、冬麗は五人以上の敵に囲まれ、善戦したものの、剣で胸を貫かれてしまう。
「なっ...」
周りが絶望に縁取られ、最悪の結末を覚悟した時、辺りに光が舞う。
思わず意識が持っていかれたが、その場にいた全員が意識を持っていかれてしまっていた。
やがて光から現れたのは——
「大丈夫か!?」
「遅くなってごめん!」
美しい銀髪に碧色の目をした少女・瑚白と姉と同じ銀髪に水色の目をした少女・舞白だった。
彼女たちは、圧倒的な剣技で敵を屠り始める。
思わずその姿に見惚れてしまう。慌てて前を向いた時。
「ぐは...っ」
今までの状態が信じられないくらいの息苦しさが襲いかかり、吐き出すように咳き込むと、辺りに血が飛び散った。
「...ああ」
もしかしたら、最高神は彼女たちの姿を見せるために生きながらえさせてくれたのか、そう思いながら安堵に包まれて星牙は目を閉じた。

たくさんのモノが広がっている中で――
「星牙!起きろ...!」
気絶した恋人を必死に看病する瑚白と。
「冬麗...なんで、なんで!」
もう光を映さない目をした恋の相手にすがる舞白の姿があった。
やがて、落ち着いた二人は目を合わせる。
「瑚白。俺は...冬麗に禁忌の魔法をかけようと思う。」
驚きに目を見開く瑚白。禁忌の魔法とは、神として神に使ってはいけない蘇りの魔法、そしてそれに準じる回復魔法のことである。
禁忌に触れれば、神格を失い転生することになる。
でもすぐに、その表情は同意に変わる。
「そうだな。そうすれば冬麗は蘇るだろう。星牙もこのままであれば、じわじわと神の永遠の命を失っていくはず。それならば、いっそのこと手遅れとなるまでに禁忌の魔法をかけたほうが良いな。」
そして2人は詠唱する。本来であれば、神ならば詠唱など必要ない。でもその詠唱は、世界で一番美しかった。