名前を呼ぶ距離



 幼馴染、って……俺しかいないじゃん。

 そう悠人の展示の方に足を進めて見てみると、俺の二倍飾られた悠人の写真。

 幼稚園の運動会に発表会、卒園式。
 小学校のマラソン大会やプール。
 中学校の入学式に、バスケ部の時の写真。
 高校の学祭に、卒業式。

 そのどれもに、俺がいた。


 大事な、幼馴染。
 俺が過去にしようとした肩書きを、悠人はまだ現在形で呼んでいた。
 何も……、言えなかった。

 悠人の友人は「うおーエモ!!」「いいなーそんな仲良し幼馴染いるとか」なんて盛り上がって、別の展示へ向かっていく。

 その場に残ったのは、俺と悠人だけ。
 沈黙が落ちる。
 妙に気まずい。
 何て言ったらいいのかわからない。

 そんな俺に、悠人は写真から目を離さずに、ぽつりと言った。

「……大学入ってからさ」
「え?」
「──隼人、距離取ってない?」
 
 ぶわっ、と冷たいものが噴き出した気がした。

「そ……そんなつもりないけど」
 反射的に出た言葉が裏返る。
 図星だ。
 見抜かれてる。
 そしてそんな図星をつかれて動揺していることも、もちろん、見抜かれてる。

 だって悠人は少しだけ、どこか困ったように笑ってるんだから。

「……俺さ、正直ちょっと寂しい」
「………………は?」