名前を呼ぶ距離


 学際前日。
 展示のために教室の一角に企画スペースが設けられていた。

「あれ、隼人もするんだ?」
 写真を並べていると、背後から声がして、振り返ると──悠人が立っていた。

 まじかよ。
 嫌なところで一番会いたくない奴に真っ先に会うとか……。
 ツイてねぇ……。

「……そうだけど」
「うわっ、懐かしいな!!」

 いや自然に写真覗き込んでくんなし。
 近い。距離が。
 ……昔みたいじゃんか。

 無意識に、一歩引きそうになるのを堪えた。

 
 すると悠人が来た方から、展示を手伝っていた委員達が、悠人が飾ったであろう写真を見て声を上げた。

「悠人、お前の、これ全部同じ子写ってない?」
「弟?」

 弟? こいつ弟いたっけ?
 そう不思議に思っていたら、悠人が少しだけ驚いた顔をしてから、すぐに笑って言った。

「違うよ。──俺の、大事な幼なじみ」


 ………………は?