「……はあ」
あれだけの勢いだったのに、今日もSNSに通知は来ない。
用事がなければ、俺もなにも更新していないのだから当たり前と言われればそうなのだろう。
はあ、とため息をつけば、隣合う鷹生は呟いた。
「なに、イケメン先輩のあれ?」
「ちがうって。用事ないから」
「いやしっかし……相変わらずイケメンだよなぁ、あの先輩」
「だから、先輩呼びは」
「いいじゃん。イケメンは事実なんだし」
鷹生の言うように、光平さんはイケメンになるのだと思う。百八十近い身長に、スリムな体格。声はよく通るし、体のパーツもそこそこ大きいほうだと思う。平均身長体重で、正直突出したものはない自分の
アクセサリーは付けていないけれど、柄なんかなくても似合う人だから、むしろうらやましいなと俺は思った。
持ち物に関しても、靴は有名ブランドのものだからわかりやすい位で、他に持ち歩いているものがブランド物かどうかまでわからない。少し短めに借り上げられた髪型も似合っているし、そこまでビジネスに向いていないとも思わない。
なにより格好いいのは、心のほうじゃないかと俺は思う。自分の世界をしっかり持っている。それは、俺にはなかったもの。だからこそ、強く感じてしまうのだと思う。
どうしたら、あんな風に強そうになれるんだろう。
考えてみたけれど、この大学に至るまでの十余年間、俺はそういう生き方をしてこなかった。
そんな俺の頭の中から、ぱっと解決方法が思いつくはずもない。
むしろ、俺のような空っぽな奴と付き合ってくれているだけで、ありがたいと思うほうがいいんだ。
「はあ……」
「ちょっと、伸二さーん。ため息多過ぎ。恋煩いかよ」
「こっ、恋とかないから!」
「へえ?」
鷹生はちょいちょいこうやっていじってくる。
恋なんてあるわけがない。
光平さんは、案外、表情に出るんだとわかったのはいつだろう。
最近、ちゃんと顔を合わせるようになったからかもしれない。だからといって、鷹生のような空気になる気配は、ないのだけれど。
「俺はさぁ、伸二から惚気が聞けるようになるの、楽しみにしてるから」
「だーかーらー」
「まあ、ちゃんとやりとり、続けるんでしょ?」
「……用事があればね」
だって、光平さんからくるメッセージは、端的なものばかりだから。
俺が画像をおくってもそっけない。
ただただ既読。いつでも既読。
一応、それ以外の機能もあると伝えてみたけれど、光平さんから返ってきたのは「気が向いたらな」の一言で。
「じゃあ、用事にしたらいいじゃん」
「え?」
「デート、したらいいと思う」
それはないでしょ。
そんな否定のことばが浮かんだのだが、鷹生に告げる前に始業のチャイムが鳴ってしまったのだった。
