16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

智花との仲は、少しずつ改善しているように感じた。でも……やっぱりお互い、どこかぎこち無さを感じている。

上手く言えないけど……今までの阿吽の呼吸ができなくなっているような感じだった。

「じゃ、ちょっと私、コンビニに行ってくるから……よろしくね」
「あ、うん。オッケィ」

智花がプリントを持ってコンビニへと出かけた。コピー機をレンタルする事に、ようやく決めたけど……実際の搬入はまだ先らしい。

塾の中には私と真衣ちゃんの2人だけになった。

「さ、今日もやりましょうかねぇ!」
パンパンと手を叩いて、自分に気合を入れる。

「あの……」
「ん? 真衣ちゃん、どうかした?」

カバンを机に置いて、ドスンと座るやいなや……真衣ちゃんがぼそりと呟いた。

「この前の面談……なんですけど」
「あぁ、高校の事、聞いた面談ね。……何かあった?」

「前から言ってるんですけど……高校、興味無くて。別にどうでも良いんですよね」
「どうでも良いって? どういう事なのかな。投げやりな感じなのかな」

「いや、違います!」

目を見開いて、両手を左右に私の前で懸命に振っている。可愛らしい。

「バンドやりたいから……本格的にギターをやりたいんですよね。だから……」
「なるほど……」

丁度、智花がコピーを終えて塾に戻ってきた。一緒に話を聞くように、私は智花を手招きて教室に呼び込んだ。

「……どうしたの?」
「ん? 真衣ちゃん。ギターを本格的にやりたいから、そういう理由で高校行きたく無いって」

「そうなんだね。真衣ちゃん、高校行きながらでもギター、できるよ?」
「んー……何ていうか……」

どうも歯切れが悪い真衣ちゃん……

(……! もしかして……?)

「ね、真衣ちゃん」
「何?」

「えっとね。……ちょっと思った事があって。もし……違ってたら、ごめんね?」

「……うん」

私の中でずっともやぁー……っとしていた事。それが1つに繋がった気がした。

もしかしたら私の勘違い、思い込みかも知れないけど……聞いてみる事にした。

「真衣ちゃんさ……ひょっとしてさ……部活で、イヤな思い……してる?」
「……」

「吹奏楽部も、辞めたがってたし……高校にも興味無いって言ってるから。もしかしたら……って思っただけなの。だから、私の勘違いだったら、許して?」
「うぅ……うー……」

静かに真衣ちゃんは、私たちの前で泣き始めた――。