16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

(智花、すっご……。色々考えてないと、突然聞かれても出てこないよねぇー……)
(やってくるかどうかは別にして……ちゃんと納得してるもんなぁ)

「でもなぁ……」
「……? どうしたの? 単語覚えるの、難しい?」

「んー……それはそうなんですけど……公立高校、行きたくないなぁって」

真衣ちゃんは、お母さんの想いと、真衣ちゃんの想いが食い違っている。

お母さんは面談の時に公立高校に行って欲しいと言ってたし……真衣ちゃんは音楽を中心に据えたがっている。

これも……実はすっごく気になっている事だった。

「あー……そっか。お母さんは公立高校に行って欲しいって言ってたもんねぇ……」
「そうなんですよねー……めっちゃうるさい……」

明らかに真衣ちゃんは不満顔。家では全然話が噛み合わないらしい。

「そっか。真衣ちゃんギターやってるんだよねぇ」

私は真衣ちゃんのお母さんとの面談の事を思い出すように、真衣ちゃんに尋ねた。

「はい! ギター……めっちゃ楽しいですよ!」

真衣ちゃんの笑顔。本当にギターが好きなように見える。部活も吹奏楽部だし……本当に音楽が好きみたい。

「でもさ、例えばだけど……公立高校に行って、そこで吹奏楽したり……ギターやるのは? ダメなの?」
「うーん……何ていうか、部活はあまりやりたくなくて」

「ん? ……どういう事?」
「本当は、バンド組みたいんですよ。……まだ全然上手くないけど」

真衣ちゃんや千夏ちゃんたちは、本当に分かりやすい。

好きな事をしゃべる時は、満面の笑顔だし……バツが悪かったり、自信が無い事について話をしている時は、明らかに伏し目がちになる。

「へぇ! バンドかぁ……! 良いじゃん!」
「……そうですか?」

「うん! 良いじゃない? めっちゃ良い! 私は応援するよ? ……ね? 智花」
「うん。カッコ良いね、バンドなんて。私は吹奏楽部だけど……そこまでじゃないからさ。尊敬するよ」

(そうだ……智花、吹奏楽部じゃん!)
(……すっかり忘れてた。てか、触れて良かったんだ……吹奏楽部だって事)

てっきり私は、あまり触れて欲しくない黒歴史扱いなのかと、勝手に思っていた。

「えっ……? 智花先生は吹奏楽部なんですかぁ?」

千夏ちゃんが驚く。そうだった。まだ誰にも私たちの部活だったり高校生活の話はした事が無い。

「そう。でも、今は休部中なんだけどね」

今後は智花が、少しバツが悪そうに、苦々しく微笑む。千夏ちゃんと真衣ちゃん……何となく察してくれてるように見えた。

「ま、あんた達の勉強……しっかり見るからねって事よ!」

とりあえず私は、腹から声を出して……この場を終わらせようとした。
 
ずっと話をしていると勉強が全くできないから。でも、千夏ちゃんと真衣ちゃんと……少しずつではあるけど、距離が縮まってきているような気がして……何だか自分の妹のような気すらするのは、とっても不思議……。