「何よ。気持ち悪い」
「はぁ? 気持ち悪いって何よ」
「いや……智花、普段そんな変な笑い、しないでしょうよ……」
「相変わらず失礼ね……私には分かるのよ。千夏ちゃんが単語テスト、全然できない理由がね」
「えっ! 何でですかぁ?」
千夏ちゃんが驚いたように智花の発言に喰い付いた。目は真剣。
「それは簡単なんだな」
「えー……何で? 満点取ってみたい!」
「知りたい?」
「教えて! ……ください」
「簡単よ? 千夏ちゃんは、そもそも勉強時間が足りてない。かな」
「えっ……ちゃんとやってるよ? 私」
隣で真衣ちゃんが「絶対ウソだ」と茶々を入れる。「うるさいな、やってるよ」と返す千夏ちゃんの表情は、嘘を言っているようには見えない。
「へぇ。千夏ちゃん、ちゃんとやってるんだ?」
智花が探偵のような声色で千夏ちゃんに迫る。
「うん! やってるよ」
「じゃ、聞こうかなぁー……昨日は家に帰ってから、単語をどのくらい勉強した?」
「どのくらいって? 何回やったかって事?」
「いや。単語の勉強にかけた時間。大体で良いよ」
「ん……」
千夏ちゃんが天井に目線をずらし、昨日の事を思い出すように考える。
「……20分……くらいかな」
「そう。じゃ……一昨日は? 同じくらい?」
(20分かぃ。……千夏ちゃんの状況からすると。少な過ぎるでしょぉ……)
智花と千夏ちゃんのやりとりは続く。私と真衣ちゃんは、静かに耳を傾けていた。
「いつも3点くらいかな? って事は……20分勉強すると、3点取れるって事だよね? じゃあ……九点取りたいなら、何倍勉強すれば良い?」
「あぁ、3点が9点だから……3倍かぁ。ってことは?」
「……って事は? どうなるの?」
「20×3………えっ!? 60……1時間ってこと!?」
「良くできましたぁー!」
智花が笑顔でパチパチ……と小さく拍手している。千夏ちゃんは対照的に……ショックを受けたような表情。
「えぇ……そんなにやらないといけないの?」
「……満点、取りたいならね」
(なるほどなぁ……理詰めで説明すると、分かりやすいし、納得してもらいやすいね……)
もちろん、そんな単純な話じゃ無い事は分かってる。2倍時間をかけたから、2倍覚えられる訳じゃ無い。
入れた知識は抜けていく。
でも……そういう事まで含めて、一気に教えるんじゃ無くて、単純な事から理解してもらおうという、智花の気持ちは私には伝わった。
千夏ちゃんが理解できて納得できている。これが何より、1番スゴいと思った事だった。
「英単語で1時間かぁ……」
話をずっと聞いていた真衣ちゃんが、ぼそりと呟く。
「そうだよ。でもね、最初は大変だけど……やっていくうちに、かかる時間がどんどん減っていくよ! 1時間かかっていたのが……50分になって、40分になって、みたいな」
「……そうなのぉ?」
「うん。段々慣れていくから。それに『勉強のやり方』が身に付いていくしね」
「慣れていくんだ」
「そう。覚えるスピードも、どんどん速くなるよ。楽器も一緒じゃないかな? 最初は大変だけど……慣れてきたら、曲覚えたりするの、速くなるんじゃない?」
「……なるほど……確かにそうかも」
音楽の例えで、真衣ちゃんも納得しているように見える。智花……相当色々と考えるようになったんだな……と思った。
きっとそれも、千夏ちゃんのお母さんとの面談があったからだと思う。
「はぁ? 気持ち悪いって何よ」
「いや……智花、普段そんな変な笑い、しないでしょうよ……」
「相変わらず失礼ね……私には分かるのよ。千夏ちゃんが単語テスト、全然できない理由がね」
「えっ! 何でですかぁ?」
千夏ちゃんが驚いたように智花の発言に喰い付いた。目は真剣。
「それは簡単なんだな」
「えー……何で? 満点取ってみたい!」
「知りたい?」
「教えて! ……ください」
「簡単よ? 千夏ちゃんは、そもそも勉強時間が足りてない。かな」
「えっ……ちゃんとやってるよ? 私」
隣で真衣ちゃんが「絶対ウソだ」と茶々を入れる。「うるさいな、やってるよ」と返す千夏ちゃんの表情は、嘘を言っているようには見えない。
「へぇ。千夏ちゃん、ちゃんとやってるんだ?」
智花が探偵のような声色で千夏ちゃんに迫る。
「うん! やってるよ」
「じゃ、聞こうかなぁー……昨日は家に帰ってから、単語をどのくらい勉強した?」
「どのくらいって? 何回やったかって事?」
「いや。単語の勉強にかけた時間。大体で良いよ」
「ん……」
千夏ちゃんが天井に目線をずらし、昨日の事を思い出すように考える。
「……20分……くらいかな」
「そう。じゃ……一昨日は? 同じくらい?」
(20分かぃ。……千夏ちゃんの状況からすると。少な過ぎるでしょぉ……)
智花と千夏ちゃんのやりとりは続く。私と真衣ちゃんは、静かに耳を傾けていた。
「いつも3点くらいかな? って事は……20分勉強すると、3点取れるって事だよね? じゃあ……九点取りたいなら、何倍勉強すれば良い?」
「あぁ、3点が9点だから……3倍かぁ。ってことは?」
「……って事は? どうなるの?」
「20×3………えっ!? 60……1時間ってこと!?」
「良くできましたぁー!」
智花が笑顔でパチパチ……と小さく拍手している。千夏ちゃんは対照的に……ショックを受けたような表情。
「えぇ……そんなにやらないといけないの?」
「……満点、取りたいならね」
(なるほどなぁ……理詰めで説明すると、分かりやすいし、納得してもらいやすいね……)
もちろん、そんな単純な話じゃ無い事は分かってる。2倍時間をかけたから、2倍覚えられる訳じゃ無い。
入れた知識は抜けていく。
でも……そういう事まで含めて、一気に教えるんじゃ無くて、単純な事から理解してもらおうという、智花の気持ちは私には伝わった。
千夏ちゃんが理解できて納得できている。これが何より、1番スゴいと思った事だった。
「英単語で1時間かぁ……」
話をずっと聞いていた真衣ちゃんが、ぼそりと呟く。
「そうだよ。でもね、最初は大変だけど……やっていくうちに、かかる時間がどんどん減っていくよ! 1時間かかっていたのが……50分になって、40分になって、みたいな」
「……そうなのぉ?」
「うん。段々慣れていくから。それに『勉強のやり方』が身に付いていくしね」
「慣れていくんだ」
「そう。覚えるスピードも、どんどん速くなるよ。楽器も一緒じゃないかな? 最初は大変だけど……慣れてきたら、曲覚えたりするの、速くなるんじゃない?」
「……なるほど……確かにそうかも」
音楽の例えで、真衣ちゃんも納得しているように見える。智花……相当色々と考えるようになったんだな……と思った。
きっとそれも、千夏ちゃんのお母さんとの面談があったからだと思う。



