16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

「智花も元気になった感じじゃん?」
「うん。……きっと誰かに聞いて欲しかったのかも」

「あっ、やっぱり? 私もそうだったっぽい。すっごいスッキリしてるもんねー……」
「ね。でもさ……これも面談で役立つなぁって思ったよ?」

「ん……? 何が?」
「えっ? 『人に話すとすっきりする』って事。通ってくれてる生徒さんもさ……色々悩みがあるだろうから。解決はできないかも知れないけど……さっきみたいに話をすると。やっぱりスッキリするもん」

「なるほどねー……スゴイね。その通りだ! いつか面談でも使えると良いなぁ」
「今回の事は……次に活かそう! 時間は戻ってこないから」

「だね。先ずはキチンと宿題を出していってみるか……」

千夏ちゃん、今後はどうなるか分からない。

「もしかしたら、辞めちゃうかもなぁ……」と不安な気持ちもあるけど、「次のテストは……何とかしてみたい!」と燃える気持ちも沸き上がってくる。

「じゃ、またね!」
「うん」

「今日の事……私、絶対活かすから!」
「……私も。がんばろ!」

きっと智花も同じ気持ちだと思う。数学より……恐らく英語の方が点数を上げるのは難しい。

(よし……やるよぉ!)

家路に着く私は、大きく成長できた気がしていた――。

◇  ◇  ◇  ◇

「はい、じゃ……宿題ねぇー」
「えぇー……またですかぁ……?」

お母さんとの面談以降、私は宿題を必ず出すようにしていた。

もちろん「家でできる内容」という事で……その辺りは工夫している。

例えば、塾で一緒にやった問題を、家でもう1度解くのが宿題みたいな感じ。2週間ほど経つけど、手応えは……無くは無い。

「もちろん! だってさ、塾でせっかく頑張ったのに……次に来たら忘れてるのって切なくない?」
「……まぁ、切ないですけど」

「そう! それがね、宿題を頑張る『意味』なんだよ! んー……千夏ちゃんに分かるかなぁ?」
「分かりますよ……? でも、英語が全然覚えられないんだよなぁ」

「おっ、英語だね? うんうん。じゃ、智花先生に聞いてみようか!」

私と千夏ちゃんは、真衣ちゃんに英語を教えている智花に向かって、わざとらしく言った。

「ん? ……何? 宿題、難しいの?」
「いやぁ……英語、覚えられなくて。どうしたら良いかなって」

「覚えられない? どんな感じなのかな?」
「えっと、ユニット3の単語……全然覚えられないんですよ」

英語は塾に来ると、宿題の確認として、単語テストを実施していた。

確かに……千夏ちゃんは10問のテストで、3問くらいしか正解できない。後の7点分は、全然覚えてきれていなかったり、惜しかったり……状況は様々。

「今日は? この後の単語テスト、できそう?」
智花が千夏ちゃんに尋ねる。

「いやぁー……どうかなぁ。3、4問くらいしかできないかも……」
「ふふっ……」

智花が珍しく、不敵な笑みを浮かべた。あまり笑ったりしないから……私や千夏ちゃんたちが一瞬驚く。