16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

「何、言われるのかな……」
「ま、先ずは話を聞かないとな。それからだろ」

「うん……点数かな、きっと……」
「それは分からないよ」

2週間後の土曜日。私と智花。そしてお父さんの3人で、千夏ちゃんのお母さんを待つ。

「お時間あれば、面談をして欲しいのですが……」と、お母さんから電話が来たのがきっかけだった。

「こんにちは」

予約してもらった午後3時ぴったり。千夏ちゃんのお母さんが英智ゼミにやってきた。

入塾してくれた時から数えて、2回目。心なしか……表情も硬いような気がする。

「あっ……お待ちしておりました! こっ……こちらへ」
「はい」

玄関で靴を脱いでもらい、私と智花はお母さんをテーブルへと案内する。

心臓がドンドンといつもよりも強く打っている。あまり良い話じゃ無いような気がした。……何となくだけど。

「お忙しい時間に、ありがとうございます」

柔らかい表情で、お父さんが頭を下げ、私と智花もそれに続く。お母さんは「いえいえ」と言いながら……両手を前に挨拶を返す。

「お座り下さい」とお父さんが言うと、みんな椅子に座った。

「中間テスト、終わりましたね。勉強のご様子……如何でしたか?」

お父さんが優しくお母さんに尋ねた。

「そうですねぇ……塾以外で全然勉強していなくて」
「そうでしたか……」

(えっ……?)

私から言わせれば、千夏ちゃんは家で勉強できる状態じゃ無い。

私のように、教えてくれる人がいなければ、解説を見ても分からないだろうから……塾で一緒にやらないと難しいと思う。

「あの……宿題とかって……出されてましたか?」

お母さんが申し訳なさそうに、小声になり私に聞いてきた。

「あっ……千夏ちゃん、家だとまだ自分1人でできないはずなので……出してはいないです」

(最初の面談で宿題の事なんか、聞かなかったじゃん……)
(……何で今更)

「なかなか定着しないと思いますので……宿題、これからは出すようにしますね」

お父さんが冷静にお母さんとやりとりしている。私は横でしゅんとしてしまった。

「ダメダメ」「いけないいけない……」と思うけど、体に力が入らない……。

結局、千夏ちゃんの英語の点数は16点。数学にいたっては11点。

「20点はいくだろう」と思っていた私は、テスト結果を千夏ちゃんから聞いて、物凄くショックを受けた。

智花も、「英語は点数を上げるのは難しい」と言ってはいたけど、智花なりにショックを受けているようだった。

「数学……11点て……」
「せっかく塾に入れたのに……」

責められているように感じて……涙が溢れてしまいそうだった。

「お母さんの前で、流石に……」と思い、必死でまぶたから零れ落ちないように、必死で耐える。

「そうですね。すいません」
「次は平均点を越えられるように、こちらも考えます」

ライトな感じでお父さんが答えてくれている。

(何で……? お父さんは悔しくないの……? そんな感じで答えて……)

今後の勉強の事について、話をしていた気がするけど……正直私は、後半の話は全く覚えていなかった。

「それじゃあ」と言って、お父さんと千夏ちゃんのお母さんが席を立った時に、ホッとした事くらいしか……覚えていない。