(どうしよう……)
因数分解は今後絶対に必要になる計算……。
あまり身に付いていないし、絶対にもっと練習する必要が、千夏ちゃんにはある。
でも学校で次の単元に進んでいるらしいから……そっちを一緒にやった方が良いかな……。
「千夏ちゃんはどっちが良い? 因数分解の練習をガッチリやるのと、平方根の練習に入るの」
「んー……平方根が良いなぁ」
「オッケー! じゃ、平方根やっていこうか」
「はぁい」
平方根。「ルート」「根号」と呼ばれる、新しい考え方……というか概念が入ってくる単元。
別に深い話をしなければ、意外と簡単な分野。逆に数学が好きな人にとっては……物凄く奥が深い単元だけど……千夏ちゃんは、まずは「できるようになる事」を目指す。
「9ってさ、何を2乗したら……9になるかな」
「9……? えっと、3でしょ?」
「引っかかったなぁー? 違うよ。不正解だね」
「えっ……? だって……3を2乗したら、9じゃないの??」
「そうやって引っかかるんだよねぇ、みんな」
「えー……何だ……?」
「どう? 何か出そう?」
「3しか思い浮かばないなぁー……」
「じゃ、時間切れね。答えは2つあるよ」
「あっ! そっか。3と……-3だ!」
「そうそう! そういう事。マイナスも2乗するとプラスだからね」
「……なるほどぉー……」
授業中のリズムというか……千夏ちゃんとの掛け合いも、だいぶスムーズになってきた。
それはもちろん、教えている私が慣れてきたという事もある。
「じゃ、同じ感じで……2乗したら36になる数は?」
「えっと……6と-6」
「そうそう! 良いじゃん! じゃ、ちょっとレベル上げて……100はどう?」
「100!? 100……何だろ……」
「無理して頭で考えなくて良いよ? ノートで計算しても良いよ」
「んー……50かなぁ?」
「そうやって引っかかるんだよねぇー」
「えっ?」
「50は2乗しても、100にはならないよ」
「あっ……ほんとだ。じゃあ、10だ! 10と、マ-10!」
「おぉ! 正解。自分でできたじゃん!」
中3生はとっても素直で可愛い。「勉強が苦手」って事もあるかなぁと思ってるけど……私や智花の教える事を、ちゃんと守ってくれる。
「じゃ、交代だね。次は数学しよっか」
真衣ちゃんに英語を教えていた智花が、時計を見ながら言う。お父さんと決めた時間割。
1教科40分は、意外と短い。
「真衣ちゃん! よろしくねー!」
「あっ……よろしくお願いします……」
英語の授業を終えてはいるけど、まだまだ緊張しているらしい。声も弱々しくて、キョロキョロと教室内を見回している。
「大丈夫よ? 隣に千夏ちゃんもいるしね!」
「英里先生、真衣ちゃん……学校でも大人しくて、こんな感じです」
千夏ちゃんが横を向いて、私に教えてくれた。
「あっ……そうなんだねぇ」
「でも、部活の時は凄いんですよ! ね? 真衣ちゃん」
「そうかなぁ……」
「そうだよ。定期演奏会の時とか……真衣ちゃん、凄かったじゃん!」
(へぇ、そうなんだ……)
(音楽の事は、やっぱり好きなんだなぁー……)
「そうなんだね! 楽器、何をやってるんだっけ?」
「……トロンボーンやってます」
「トロンボーン? ……どんなヤツだっけ……大きい?」
「いやぁ……そこまでは大きくないですけど……こういうやつです」
真衣ちゃんが、トロンボーンを持っている仕草をしてくれた。左手をグーの形にして胸の前に出して……右手を前後に動かす。
「あっ! 分かる! ……そっか、それがトロンボーンかぁ」
「難しいんですよ。トロンボーン」
(お? トロンボーンの話……真衣ちゃん色々しゃべってくれるじゃん)
因数分解は今後絶対に必要になる計算……。
あまり身に付いていないし、絶対にもっと練習する必要が、千夏ちゃんにはある。
でも学校で次の単元に進んでいるらしいから……そっちを一緒にやった方が良いかな……。
「千夏ちゃんはどっちが良い? 因数分解の練習をガッチリやるのと、平方根の練習に入るの」
「んー……平方根が良いなぁ」
「オッケー! じゃ、平方根やっていこうか」
「はぁい」
平方根。「ルート」「根号」と呼ばれる、新しい考え方……というか概念が入ってくる単元。
別に深い話をしなければ、意外と簡単な分野。逆に数学が好きな人にとっては……物凄く奥が深い単元だけど……千夏ちゃんは、まずは「できるようになる事」を目指す。
「9ってさ、何を2乗したら……9になるかな」
「9……? えっと、3でしょ?」
「引っかかったなぁー? 違うよ。不正解だね」
「えっ……? だって……3を2乗したら、9じゃないの??」
「そうやって引っかかるんだよねぇ、みんな」
「えー……何だ……?」
「どう? 何か出そう?」
「3しか思い浮かばないなぁー……」
「じゃ、時間切れね。答えは2つあるよ」
「あっ! そっか。3と……-3だ!」
「そうそう! そういう事。マイナスも2乗するとプラスだからね」
「……なるほどぉー……」
授業中のリズムというか……千夏ちゃんとの掛け合いも、だいぶスムーズになってきた。
それはもちろん、教えている私が慣れてきたという事もある。
「じゃ、同じ感じで……2乗したら36になる数は?」
「えっと……6と-6」
「そうそう! 良いじゃん! じゃ、ちょっとレベル上げて……100はどう?」
「100!? 100……何だろ……」
「無理して頭で考えなくて良いよ? ノートで計算しても良いよ」
「んー……50かなぁ?」
「そうやって引っかかるんだよねぇー」
「えっ?」
「50は2乗しても、100にはならないよ」
「あっ……ほんとだ。じゃあ、10だ! 10と、マ-10!」
「おぉ! 正解。自分でできたじゃん!」
中3生はとっても素直で可愛い。「勉強が苦手」って事もあるかなぁと思ってるけど……私や智花の教える事を、ちゃんと守ってくれる。
「じゃ、交代だね。次は数学しよっか」
真衣ちゃんに英語を教えていた智花が、時計を見ながら言う。お父さんと決めた時間割。
1教科40分は、意外と短い。
「真衣ちゃん! よろしくねー!」
「あっ……よろしくお願いします……」
英語の授業を終えてはいるけど、まだまだ緊張しているらしい。声も弱々しくて、キョロキョロと教室内を見回している。
「大丈夫よ? 隣に千夏ちゃんもいるしね!」
「英里先生、真衣ちゃん……学校でも大人しくて、こんな感じです」
千夏ちゃんが横を向いて、私に教えてくれた。
「あっ……そうなんだねぇ」
「でも、部活の時は凄いんですよ! ね? 真衣ちゃん」
「そうかなぁ……」
「そうだよ。定期演奏会の時とか……真衣ちゃん、凄かったじゃん!」
(へぇ、そうなんだ……)
(音楽の事は、やっぱり好きなんだなぁー……)
「そうなんだね! 楽器、何をやってるんだっけ?」
「……トロンボーンやってます」
「トロンボーン? ……どんなヤツだっけ……大きい?」
「いやぁ……そこまでは大きくないですけど……こういうやつです」
真衣ちゃんが、トロンボーンを持っている仕草をしてくれた。左手をグーの形にして胸の前に出して……右手を前後に動かす。
「あっ! 分かる! ……そっか、それがトロンボーンかぁ」
「難しいんですよ。トロンボーン」
(お? トロンボーンの話……真衣ちゃん色々しゃべってくれるじゃん)



