16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

「こんにちはぁー!」
「……こっ……こんにちは……」

火曜日。千夏ちゃんが、真衣ちゃんを連れて一緒に塾に来てくれた。

まだまだ人数も少ないので、いつもと同じ、夕方5時からにしている。

「あっ! 千夏ちゃんー! こんにちは」
「真衣ちゃんだね? こんにちはぁ!」

真衣ちゃんは千夏ちゃんとほとんど同じ身長。

初めてきた千夏ちゃんの時と同じように緊張しているせいか、縮こまっているように見える。

「さっ、こっちだよ。そこで靴脱いでね」

私は真衣ちゃんが教室に入りやすくなるように、手招きをしようとするけど……千夏ちゃんが「こっちだよ」と案内してくれている。

(なるほど……新しい先生代わりって感じじゃん……)
(助かるぅー……)

「英里先生? 真衣ちゃん……私の隣で良いの?」
「あっ、うん……智花、隣で良いよね?」

「うん! そうだね。千夏ちゃんの隣に座ろっか!」

おどおどしながら、千夏ちゃんの右側の椅子に腰を下ろす真衣ちゃん。本当に一番最初に来た時の千夏ちゃんを見てるみたい。

「緊張し過ぎじゃない?」

千夏ちゃんも同じ事を思っていたらしく、笑いながら真衣ちゃんに言った。

「よくここまで塾に慣れてくれたなぁ」と、千夏ちゃんに感謝の気持ちでいっぱい……。

「だってさ……初めてだし……」
「そうだねー。慣れると思うよ? 大丈夫」

緊張で顔が真っ青になっている真衣ちゃんに、智花が言った。

「真衣ちゃんは、英語と数学……両方苦手?」
「えっと……英語は小学校の時に少し習ってて……」

「あっ、そうなんだ! 数学は……あんま好きじゃない……かな?」
「はい……ヤバいです。点数もヤバいです」

「そうなんだねぇー。数学は英里先生がちゃんと教えてくれるよ! 大丈夫。じゃ……真衣ちゃんは英語からやろうか!」

「あっ……はい」

千夏ちゃんは数学から。真衣ちゃんは英語から勉強を開始する事にした。千夏ちゃんの数学は……3歩進んで、5歩下がるような感じ。

英語と数学を40分ずつに設定していて、授業中はあまり進まないけど、キチンと頑張れる。でも……次に来た時には、内容を忘れている事も多い。

「じゃ、千夏ちゃんは数学ね」
「はぁい」

「今日は? 学校で何をやったの?」
「えっと……何だっけ」

「教科書でいうと、どこかな? ……教科書、ある?」
「あっ、持ってきてます!」

カバンの中をガサゴソとまさぐり、数学の教科書を取り出す。どうやら因数分解が終わって、平方根に入っているらしかった