16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

「えーっ!? しょっ、紹介―!?」
「そう。松下さんのお母さんから電話が来てね……千夏ちゃんの友達が、英智ゼミに行ってみたいって言ってるらしい」

「そっか、そっかぁー! 紹介かぁ! 何か……嬉しいなぁ!」

初めての紹介。その言葉の響きは……私と智花の心に強さをもたらしてくれた。

「君たちを認めよう」と神様に言ってもらえている気がして、本当に嬉しかった。

一番最初に千夏ちゃんのお母さんから電話をもらった時の喜びと、紹介の喜びは……また種類が違う気がして、うきうきして仕方無い。

「まだ二回目だから」という事で、面談にはお父さんも参加してもらう事になった。

「千夏ちゃんの友達みたいだから……同じ三年らしいよ」
「へぇ……どんな子なんだろうね?」

遠藤先生の所に顔を出した次の週。土曜日に面接は決まっていた。私たちとお父さんは、夕方四時からの面談に備えて、塾で掃除をしながら過ごす。

「でも……松下さんも、何回? もう二回塾に来たのか?」
「うん。先週入塾してくれて、今週は火曜と木曜来てくれたから。二回だね」

「どう? もう塾に慣れた感じなのか? 松下さん」
「もう! ねぇ智花。楽しくやってるよねぇ?」

「はい。休み時間もよく笑ってくれるし……嫌いじゃ無いような気がします。塾に来るの」

「……そうか。良かったな。これで友達も入ってくれれば、少しは賑やかになるんじゃないか?」
「そうだね! ちゃんとケジメは付けないとだけど……賑やかになるのは良い事だ!」

「こんにちはー……」

玄関の外から声が聞こえた。ドアは開けっ放しにしてある。

松下さんの時と同じように、「はぁい」と返事をして、玄関まで走る。ふと「あれ? 慣れてきたような気がするな」と思った。

「はいっ! 英智ゼミですっ」
「あっ……面談の予約を四時からしていました倉田です……」

「倉田さま! お待ちしておりました! こちらで靴を脱いでお上がり下さい!」

自分の動きや、倉田さんを招き入れる動作もスムーズになったな……と感じながら、倉田さんを部屋の中へと案内する。

倉田さんは私や智花をじーっと見つめたり、部屋の中をキョロキョロと見回していた。

(……こればっかりは。最初は仕方無いよなぁ……)

女子高生が二人。保護者の人のこのリアクションは、今後も無くならないと思う。

でも……松下さんの時で免疫が付いたからなのか、しょげる事もめげる事も、もう無かった。

私と智花は自信に満ち溢れるように、堂々と倉田さんの前に座り、しゃべる事ができた。

「お話には聞いてましたけど……本当にお二人とも高校生なんですね……」
「ええ。代表は私が務めておりますけれど……実際に子供達には、二人が教えています」

「へぇー……お二人は? 高校はどちらになるんですか?」

初めての質問だった。きっと私たちの学力を知りたがっているんだろうと思った。