16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

「結果……結果が求められるんですね」

「そう。東堂、流石。そういう事だよ。もちろん、月謝というか……お金を払って頂いている訳だから。皆さん、大なり小なり絶対に結果を求めている。まぁ、口では言わない人もいるけどね。勉強ができて、栄ケ丘に行きたいような生徒の場合、例外なく「合格」を求める。そのために塾に来る」

「そっか……千夏ちゃんの場合は、まだそこまでじゃないから……」
「うん。そういう生徒の場合は『分かる楽しさ』とか『一〇点だった数学が二〇点になる』とか、そっちを求める人が多いな」

「なるほど……今の私たちには、そっちじゃないと難しいんだ……」
「やっと分かってくれた? やっぱり何事も、経験だねぇ」

そう。私たちは遠藤先生から「僕と同じような塾にしない方が良い」という事は……以前来た時に教えてもらっていた。

その時は深い所まで……理解できていなかった。

「ありがとうございます! 何か……私たちの目指す所、見つかった気がします……!」

目が覚めたかのような表情で智花が先生に言った。私もそうだけど……智花もずっと同じ所で悩んでいたっぽい。

「そう? 良かった。力になれたみたいで」

澄ました顔で先生はさらりと言う。こうやって恩着せがましく無いのが先生の良い所。

いつか必ず先生に恩返しができたらな……と思っている。

前回と同様、「そろそろ生徒さん来るかも……」という事で、私と智花は光成塾を後にした。「また来ます」と先生に挨拶をして。

「そっか。私たちは……先ずは、勉強の楽しさを知ってもらわないとね」
「そうだね。私は数学で、智花は英語で……か」

「そうよ。受験でレベルを高い所を受ける事が無いからこそ、できる事がある気がするのよ」
「確かにね……もうすぐ中間テストがあるからさ、千夏ちゃんには良い点数取って欲しいね! そっからだ」

先生の塾からの帰り道。私たちは千夏ちゃんの目標を中間テストでの自己最高に決めた。

元々そんなに点数は高く無いから……ちょっと頑張ってもらえば、必ず良い結果が出るだろうと思いながら……家路に着いた。