16歳、先生になる―女子高生社長の挑戦―

千夏ちゃんは週2回の通塾に決まった。

先ずは火曜日と木曜日。慣れてきたら、土曜日も加えて、週3回にする予定。

本当は受験生だから理科や社会もやりたいけど……実力的にそれは難しく、先ずは英語と数学の基礎を、英智ゼミで進めていくことが決定した。

私たちは学校と自分の勉強もあるから、最初週2回だけ塾を開けるのはありがたい。塾生ができて初めての土曜日。智花と一緒に書店に行って、その足で遠藤先生に報告しようと思っていた。

「中学生向けの参考書って、私……買った事無いんだよねぇ……」

光成塾に通っていた私は、勉強用の教材は全て塾でもらったテキストだけ。

英単語も社会の用語も……今思えば、全部遠藤先生が生徒に揃えてくれていた事を思い出す。

「ま、塾に置いておくだけだから……」

智花に「ちゃんと参考書、揃えよう」と言われて、お父さんから3万円をもらって書店にやってきた。

辞書や参考書が無いと、調べる事もできないし、それに何より保護者の方が面談で来た時に「塾に見えない」と思われるのは良くないらしい。

(流石だよ……みんな。そんな所までさ……)

先日の松下さんとの面談で、そこまで感じ取っている智花に対して、私は驚いている。

「辞書は欲しいよね……英語と国語。古語は……今は要らないか……」

ぶつぶつと言いながら、智花が色々な辞書をカゴに入れていく。……辞書、意外と重い。

「理科とか、社会は? 参考書あった方が良くない?」
「そうね……まだ理科と社会はやらないけど、いつか使うかもだしね……」

「後は?」
「そうね……参考書じゃなくて、問題集も何冊か買っておいた方が良いかも……」

「問題集?」
「そう。見栄えよ。見栄え。面談の時にね」
「……なるほど。賢いな」

辞書を2冊。そして参考書を六冊。問題集を5冊……カゴを2つに分けて、レジで会計をしてもらう。

「……1万3千……」

レジのお姉さんの声に、私は言葉を失う。焼肉に家族で行った訳でも無いのに……軽く1万円を越えた……。

「袋、どうされますか?」
「あっ、お願いします」

「かしこまりました。では……2つにお分けしますね。重たいので」
「ありがとうございます」

手早くレジのお姉さんは2つの紙袋に、参考書類をどんどん入れていく。智花と2人じゃ無かったら、きっと重くて持てない。

「お返しと……レシートはどうされますか?」
「あ、レシートは要らないです」

その時だった。