「千夏ちゃん。英語……どうだった?」
夜は少し冷える。私はアイスコーヒーじゃなくホットココアを注文する。
ちょっと冷えるのもあるけど……夜にコーヒーを飲んでしまうと、きっと眠れなくなるから。
「予想通り、大変だったよ?」
「そう言えばさ……智花、スゴかったよね。最初の方。千夏ちゃんと色々コミュニケーション取ってくれて。あれ……めっちゃ助かったもんね」
「あんたが事前に考えて無さ過ぎなのよ……」
私と同じホットココアを注文した智花。両手でカップを持ち、口元に運ぶ。
「まぁ……それはそうだけど。にしても、スゴかったわぁ……」
「それはどうも……」
「あ、コンビニにコピーしに行ったって言ってたよね? あれは?」
「あぁ……あれ? あんたが数学やってるのちらっと見て……『これは中1からかな』って思ったからね。中1用の問題集をコピーしたの」
「へぇ」
「でも、ダメよ? 何でもかんでもコピーしたら。著作権があるからね」
「著作権か……聞いた事はあるけど」
「ネットで著作権フリーの問題もあるから。それをコンビニでプリントアウトしたのよ」
「はぁー……ちゃんと考えてんだねぇ……智花は。感心するよ」
「……あんたはもっと考えなさいよね」
充実感、そして疲れ。色々な感情と気持ちが……同時にズシンとのしかかっている感じ。
「でも英語は大変だろうね……千夏ちゃん」
「そっか。そんなに大変だった?」
「千夏ちゃんが……っていうか、英語はね、苦手になると……結局中1からやり直さないといけないのよ。数学と違って」
「はぁ……」
「数学はさ、計算だけ何とかすれば、一応やれるでしょ? 英語は……そうはいかないからね。あんたも本当は中1からやり直すべきなのよ」
「うるさいな……私は大丈夫だって」
「どのみち、英語も数学も……ゼロから一緒にやり直さないとダメだろうね」
私の頭の中には、千夏ちゃんのお母さんが言っていた「どの塾でも断られるかも知れない」という言葉が浮かんだ。
確かに……あの状態だったら……クラス別の塾は断られるかも知れない。というよりも、千夏ちゃんがついて行けないと思う。
「ま、まだ入塾してくれるって決まった訳じゃないから……入塾してくれてからが本当の勝負だね」
「確かにそうだね……入ってくれるかなぁ? ……千夏ちゃん」
お父さんと作戦会議をしていたカフェも、夜になると窓の外は真っ暗。
私はぼんやりと外を歩くサラリーマンを見ながら、今後の事に想いを馳せていた。
お父さんから嬉しい知らせがあったのは、カフェを出て家に着いた時だった。
「おい、今日体験で来た松下さん……入塾したいってさ」
「……ほんと!?」
「あぁ。7時頃に電話が来たよ。おめでとう! 初めての塾生かぁ」
「わぁい! やった! お母さん! 私……社長になりましたっ!」
私とお父さんの会話を、台所で聞いていたお母さん。ふふっ……と笑いながら「おめでとう」と声をかけてくれた。
夜は少し冷える。私はアイスコーヒーじゃなくホットココアを注文する。
ちょっと冷えるのもあるけど……夜にコーヒーを飲んでしまうと、きっと眠れなくなるから。
「予想通り、大変だったよ?」
「そう言えばさ……智花、スゴかったよね。最初の方。千夏ちゃんと色々コミュニケーション取ってくれて。あれ……めっちゃ助かったもんね」
「あんたが事前に考えて無さ過ぎなのよ……」
私と同じホットココアを注文した智花。両手でカップを持ち、口元に運ぶ。
「まぁ……それはそうだけど。にしても、スゴかったわぁ……」
「それはどうも……」
「あ、コンビニにコピーしに行ったって言ってたよね? あれは?」
「あぁ……あれ? あんたが数学やってるのちらっと見て……『これは中1からかな』って思ったからね。中1用の問題集をコピーしたの」
「へぇ」
「でも、ダメよ? 何でもかんでもコピーしたら。著作権があるからね」
「著作権か……聞いた事はあるけど」
「ネットで著作権フリーの問題もあるから。それをコンビニでプリントアウトしたのよ」
「はぁー……ちゃんと考えてんだねぇ……智花は。感心するよ」
「……あんたはもっと考えなさいよね」
充実感、そして疲れ。色々な感情と気持ちが……同時にズシンとのしかかっている感じ。
「でも英語は大変だろうね……千夏ちゃん」
「そっか。そんなに大変だった?」
「千夏ちゃんが……っていうか、英語はね、苦手になると……結局中1からやり直さないといけないのよ。数学と違って」
「はぁ……」
「数学はさ、計算だけ何とかすれば、一応やれるでしょ? 英語は……そうはいかないからね。あんたも本当は中1からやり直すべきなのよ」
「うるさいな……私は大丈夫だって」
「どのみち、英語も数学も……ゼロから一緒にやり直さないとダメだろうね」
私の頭の中には、千夏ちゃんのお母さんが言っていた「どの塾でも断られるかも知れない」という言葉が浮かんだ。
確かに……あの状態だったら……クラス別の塾は断られるかも知れない。というよりも、千夏ちゃんがついて行けないと思う。
「ま、まだ入塾してくれるって決まった訳じゃないから……入塾してくれてからが本当の勝負だね」
「確かにそうだね……入ってくれるかなぁ? ……千夏ちゃん」
お父さんと作戦会議をしていたカフェも、夜になると窓の外は真っ暗。
私はぼんやりと外を歩くサラリーマンを見ながら、今後の事に想いを馳せていた。
お父さんから嬉しい知らせがあったのは、カフェを出て家に着いた時だった。
「おい、今日体験で来た松下さん……入塾したいってさ」
「……ほんと!?」
「あぁ。7時頃に電話が来たよ。おめでとう! 初めての塾生かぁ」
「わぁい! やった! お母さん! 私……社長になりましたっ!」
私とお父さんの会話を、台所で聞いていたお母さん。ふふっ……と笑いながら「おめでとう」と声をかけてくれた。



