会いたい。けど、会えない。


 俺の通っていた小学校では、日直二人で教壇の前に立ち、クラスメイトに向かって朝のスピーチを行うという取り組みがされていた。
 
 引っ込み思案の性格から人前で話すのが苦手だった俺は、クラスメイト全員の視線を集めて話をする状況から、緊張で言葉を噛み続けてしまった。
 
 ちゃんと伝えたいのに、上手く話せない度にクスクスと聞こえてくる笑い声。
 
 逃げ出したくなる気持ちを我慢してなんとか乗り切った俺を待っていたのは、もう一人の日直で、一番仲の良かった友達からの言葉だった。
 
『お前のせいでオレも笑われただろ』
 
 その言葉は、俺にとってあまりにショックだった。
 
(俺のせいで……。俺が話すと迷惑になる……笑われる……)
 
 俺はその日を境に人と話をするのが怖くなり、人の笑った顔が自分のことを嘲笑っていると感じるようになってしまった。
 
 そんなことはないと頭で分かっていても、恐怖と不安で手が震えてしまい、それを必死に隠そうとするうちに、人の目を見て話せなくなってしまった。
 
(また笑われる……。怖い……)
 
 次第に登校回数が減っていき、不登校のまま中学も卒業。
 
 高校と大学は通信を選択し、極力人と関わらないよう生活していた俺を変えたのは、オンラインゲームだった。
 
 時間潰しにと何気なく始めた俺だったが、そのおもしろさにどっぷりとハマってしまい、ゲームを円滑に進めるためにと仕方なくテキストチャットを始めると、ネット友達が増えていった。
 
 そのうち、誘われるがままに初めてボイスチャットへ挑戦した時、対面でなければ人と普通に話せる自分自身に俺は気が付いた。
 
『千隼がいると勝率上がるから超助かるよ』
 
 みんなが嫌がるサポートポジションにまわっていると、チーム戦などの試合に誘われることが多くなり、俺は自分が必要とされている気がして嬉しかった。
 
 だが、だんだんと反論しない性格の俺は、負けた時の責任を押し付けられたり、チームメイトから怒りをぶつけられることが増えていった。
 
 そんな時、偶然出会ったのが佑真さんだった。