天気予報が晴れを指す中、珍しいことにもくもくと雲が迫り寄っている。
「天気予報さんもたまには間違えるよなあ」
気怠さがいつもより体に響く。それは俺だけではなく生徒たちも同じだった。
体育大会まで残り数日。最初の頃に比べれば慌ただしさが倍になっている。
「あれ、もう布足りないじゃん!後ちょっとだったのに……」
教室で項垂れる衣装係。
「あーまった。ここ誰か少しペンキこぼしただろ!」
巨大なキャンパスに向かい合う塗装係。
「ほらそこ!もっと声出して!」
体育教師の声量に負けずと声を張り上げる応援団長。
連携のずれが垣間見えて何処もかしこもピリピリと空気が淀んでいた。大人たちが出来る残り僅かなことは、見守り支えることなんだが。職員は職員でやることなすことに追われている。
「ほんっとに今日も疲れたな……って、まだ残って」
日が暮れガランとした校舎に小さく教室の明かりが灯っていた。
「泉谷。それさ、当日取れよ」
「いや……俺は」
「変だよ。それ」
壁に隠れるようもたれた俺の体。耳に入ってきたのは泉谷の不安定な声と、笹宮の断固としたその声。
「……お」
「__俺はただっ」
俺の声は簡単に泉谷の声にかき消された。それはとても悲痛で、締め付けられるようなそんな叫びだった。
「好きなものを好きって、それを大事にしたいって!でも……それだけだと不快に思う人たちがいるって分かってるから……多少変でもいいって……思ってるのに」
「泉谷、そうじゃなくて」
「ごめん」
消える吐息。迫り来る足音。一度こちらに目を向けた泉谷。暗くてもわかるその顔が脳裏に焼き付く。
いつもとは違い声を掛けることもなくあいつは通り過ぎた。
「……笹宮。お前の将来の夢、みんなが幸せになる服作ることって言ってたな」
子供同士の面倒ごとに介入してはいけない。俺はそんな大人ではいられない。
「相手の求める服ってさ、相手を知らなきゃ作れないと思わないか?どんな想いでどんなものを着たいのか一から十まで」
俯いたままの笹宮は手に、入った力が抜けないのか震えきっていた。
「あいつの想いをちゃんと知ってやってくれないか。理解出来なくてもいい、ただ知ってやって欲しい」
「俺……あいつのこと好きなんです」
「…………ん?」
「天気予報さんもたまには間違えるよなあ」
気怠さがいつもより体に響く。それは俺だけではなく生徒たちも同じだった。
体育大会まで残り数日。最初の頃に比べれば慌ただしさが倍になっている。
「あれ、もう布足りないじゃん!後ちょっとだったのに……」
教室で項垂れる衣装係。
「あーまった。ここ誰か少しペンキこぼしただろ!」
巨大なキャンパスに向かい合う塗装係。
「ほらそこ!もっと声出して!」
体育教師の声量に負けずと声を張り上げる応援団長。
連携のずれが垣間見えて何処もかしこもピリピリと空気が淀んでいた。大人たちが出来る残り僅かなことは、見守り支えることなんだが。職員は職員でやることなすことに追われている。
「ほんっとに今日も疲れたな……って、まだ残って」
日が暮れガランとした校舎に小さく教室の明かりが灯っていた。
「泉谷。それさ、当日取れよ」
「いや……俺は」
「変だよ。それ」
壁に隠れるようもたれた俺の体。耳に入ってきたのは泉谷の不安定な声と、笹宮の断固としたその声。
「……お」
「__俺はただっ」
俺の声は簡単に泉谷の声にかき消された。それはとても悲痛で、締め付けられるようなそんな叫びだった。
「好きなものを好きって、それを大事にしたいって!でも……それだけだと不快に思う人たちがいるって分かってるから……多少変でもいいって……思ってるのに」
「泉谷、そうじゃなくて」
「ごめん」
消える吐息。迫り来る足音。一度こちらに目を向けた泉谷。暗くてもわかるその顔が脳裏に焼き付く。
いつもとは違い声を掛けることもなくあいつは通り過ぎた。
「……笹宮。お前の将来の夢、みんなが幸せになる服作ることって言ってたな」
子供同士の面倒ごとに介入してはいけない。俺はそんな大人ではいられない。
「相手の求める服ってさ、相手を知らなきゃ作れないと思わないか?どんな想いでどんなものを着たいのか一から十まで」
俯いたままの笹宮は手に、入った力が抜けないのか震えきっていた。
「あいつの想いをちゃんと知ってやってくれないか。理解出来なくてもいい、ただ知ってやって欲しい」
「俺……あいつのこと好きなんです」
「…………ん?」



