「やりたいこと!」
3限が終わると同時に、陽依が唐突に選手宣誓を始める。
「昨日、言いそびれたこと! また体験教室に行きたい!」
確かに、陽依は昨日、やりたいこととやらを言わなかった。あのクッキングスタジオの体験教室は、メニューを変えて今月も行なわれるらしい。
「今度は、その、ちゃんと楽しめるかな、と思って……このメンバーで」
「良いじゃん。行こうよ」
滝本がすぐに賛同した。
「行くか」
料理するだけなら、食べなければ、俺も普通に参加できる。
「じゃあ、予約するね!」
陽依は、花が咲いたような笑顔でスマートフォンから体験教室の予約をし、予約情報を俺達に共有してくれた。
4限目の教室に着くと、教室内は段田の話で持ちきりだった。
「……俺のせい、だよな」
滝本が、ぼそっと呟いた。
「閑真に愚痴を聞いてもらって落ち着いたと思ったけど、やっぱり無理だ。俺が基礎ゼミの準備をしっかりできていれば、段田があんなにやり込められることも無かったのに。最初は、段田ざまあみろと思ったけど、ゼミが終わってもあんなに話が広まるのは、なんか違う」
近くの学生が、滝本災難だったね、と慰める。滝本は俯いて完全に落ち込んでしまった。
スマートフォンを見ると、SNSも段田の話題で持ちきりだった。俺は段田にアカウントをブロックされたせいで段田の投稿を見ることはできないが、他の人のアカウントは閲覧することができた。
胸糞悪い噂があった。段田は中学生のときにクラスメイトと教育実習生を自殺に追い込んだ、という噂だ。
段田は気に入らない男子をいじめ、もともと明るい性格だった男子を追い込んだ。その男子をかばった教育実習生の弱みを握り、ふたりとも遺書を残して自殺した。ネットニュースは今もリンクが残り、新聞にも取り上げられた。
段田は家庭裁判所に行かなくて済んだものの、残りの中学生活は保健室登校、高校生は私立に合格しても取り消され、偏差値の低い高校に補欠合格、繰り上げで合格し、入学できた。大学は推薦ではなく、一般入試で合格。ただし、かなりの数の滑り止めに不合格になった。
段田の激しい性格を見ていると、いじめの首謀者になってもおかしくないと思ってしまうが、気になることがネットニュースに書かれていた。段田が自殺に追い込んだという教育実習生は、家庭科の教員志望の男子学生だという。
4限の講義は、どこかざわついた様子で終わり、俺はキャンパスを出てアルバイトに向かう。
駅に向かう途中で、ふらふら歩く段田を追い越した。いつも一緒に行動している友人とやらはおらず、段田ひとりだった。
3限が終わると同時に、陽依が唐突に選手宣誓を始める。
「昨日、言いそびれたこと! また体験教室に行きたい!」
確かに、陽依は昨日、やりたいこととやらを言わなかった。あのクッキングスタジオの体験教室は、メニューを変えて今月も行なわれるらしい。
「今度は、その、ちゃんと楽しめるかな、と思って……このメンバーで」
「良いじゃん。行こうよ」
滝本がすぐに賛同した。
「行くか」
料理するだけなら、食べなければ、俺も普通に参加できる。
「じゃあ、予約するね!」
陽依は、花が咲いたような笑顔でスマートフォンから体験教室の予約をし、予約情報を俺達に共有してくれた。
4限目の教室に着くと、教室内は段田の話で持ちきりだった。
「……俺のせい、だよな」
滝本が、ぼそっと呟いた。
「閑真に愚痴を聞いてもらって落ち着いたと思ったけど、やっぱり無理だ。俺が基礎ゼミの準備をしっかりできていれば、段田があんなにやり込められることも無かったのに。最初は、段田ざまあみろと思ったけど、ゼミが終わってもあんなに話が広まるのは、なんか違う」
近くの学生が、滝本災難だったね、と慰める。滝本は俯いて完全に落ち込んでしまった。
スマートフォンを見ると、SNSも段田の話題で持ちきりだった。俺は段田にアカウントをブロックされたせいで段田の投稿を見ることはできないが、他の人のアカウントは閲覧することができた。
胸糞悪い噂があった。段田は中学生のときにクラスメイトと教育実習生を自殺に追い込んだ、という噂だ。
段田は気に入らない男子をいじめ、もともと明るい性格だった男子を追い込んだ。その男子をかばった教育実習生の弱みを握り、ふたりとも遺書を残して自殺した。ネットニュースは今もリンクが残り、新聞にも取り上げられた。
段田は家庭裁判所に行かなくて済んだものの、残りの中学生活は保健室登校、高校生は私立に合格しても取り消され、偏差値の低い高校に補欠合格、繰り上げで合格し、入学できた。大学は推薦ではなく、一般入試で合格。ただし、かなりの数の滑り止めに不合格になった。
段田の激しい性格を見ていると、いじめの首謀者になってもおかしくないと思ってしまうが、気になることがネットニュースに書かれていた。段田が自殺に追い込んだという教育実習生は、家庭科の教員志望の男子学生だという。
4限の講義は、どこかざわついた様子で終わり、俺はキャンパスを出てアルバイトに向かう。
駅に向かう途中で、ふらふら歩く段田を追い越した。いつも一緒に行動している友人とやらはおらず、段田ひとりだった。


