============== これは、勿論フィクションです。 =======
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。
午前9時。時間管理局。
出勤するなり、ボスは言った。
「五十嵐、寒いのは得意か?」
「勿論、苦手ですです。」
「ですです?」「考えただけで奮えます。」
「寒いのは、かな子の態度とか?」「いえ、いつもホットです。あの、指令は?」
「ああ。すまんすまん。今回は、『使い捨てカイロ歴史歪め事件』だ。場所は、『川の国』、お前が新聞記者になりすました国だ。懐かしいか?・・・ん、ん。『差異の起点』の時間軸だが、1976年だ。この年は、何十年ぶりかの『大寒波』。ところが、『差異』で、この年に使い捨てカイロが登場している。本来の歴史、詰まり、データベースによると、使い捨てカイロが本来登場するのは、1975年、そして、広まるのが1978年だ。」
「ちょっと早いですね。」「うん。でも、そのちょっとの差で『川の国』の隣国が3026年の現在、世界を寒波から守った国として君臨、植民地を増やしている。」
「川の国の隣国・・・。」
「『間借国』だ。詳しくは睡眠学習しろ。」
「行き先の時間軸は?」「勿論、1975年だ。」
俺は、久しぶりに燃えてきた。
次元管理局にいた時は、どの次元でも隣国の支配を受けたりうけそうになっていた。
1975年。川の国。ある菓子メーカー系列の研究所。
偶然から生まれた『化学製品』の誕生に、会社を挙げて祝っていた。
その会社から、研究所のアルバイトがタクシーに乗った。
「空港まで。」青年は、片言の言葉で行き先を伝えた。
ところが、到着したのは空港ではなく、港だった。
青年と一緒に降りたタクシーの運転手、詰まり、俺は冷然と言った。
「時間管理法により、お前を未来に送り返す。未来の『間借国』に強制送還されるかどうかは俺は知らない。俺は、ただの『時間のお巡りさん』だからな。来年の大寒波までに盗品から作った『まがい物』で儲けるなんて、よく考えたな。」
俺は銃で撃って、奴を未来に送った。
そして、本来のタクシーの運転手を起こしてから、未来に戻った。
3026年。帰宅すると、夕食の後、かな子は、コートを脱いだ。
コートの下は下着だった。
「先に、トイレ行っていい?」
俺は、その言葉を絞り出すのが精一杯だった。
心が寒かった。
―完―
※昭和51年(1976)2月、松山気象台開設以来という大寒波に見舞われ、かんきつ類はほとんど落葉し、多くの家庭の給排水用パイプが裂けるなどの被害を受けました。
使い捨てカイロは1970年代半ば(1975年頃)に日本で登場し、1978年に「ホカロン」として全国発売されて大ヒットしました。アメリカ軍のフットウォーマーに着想を得て、鉄粉が空気中の酸素と反応して発熱する原理を応用したもので、手軽さから冬の必需品となりました。
今年も、何十年ぶりかの大寒波です。
使い捨てカイロ、あってよかったですね。
クライングフリーマン


