その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、意地汚い奴は好きか?」
 「勿論、きらいです。」
 「今回の『差異』が現れたのは、『皆の国』。お前が、意地汚い国のトップの『裏の声』をバラした次元だ。その次元の『差異』は、『真空パック廃止』だ。未来の、3026年の皆の国で、有毒ガスが含まれる真空パック食品が現れた。原因は微生物だが、真空パックは1940年代から研究され、1974年に真空パック肉製品が開発されて以来、爆発的に市場に真空パック食品が出回った。150年近くの内に徐々に技術が刷新されていった為、システムでは、未来の、3026年の技術を持ち込んで時限装置的に何かを仕込んだ奴がいる、と見込んでいる。」
 「了解しました。」

 俺は、まず3026年の『皆の国』に時限移動した。
 1時間経つと、自動的に1974年に移送される。
 市井で調査している暇はない。
 道行く人に、インターネットカフェらしきものがあるかどうか尋ねる。
 幸い、あった。目の前だった。
 教えてくれた少年は、自分のパスで入り、手伝ってくれた。
 「何を調べたいの?」
 「真空パックで大損した人。」
 「ああ・・・ちょっと待って。この人じゃない?1974年に『技術漏洩事件』があった。隣国に流れた噂があったが、同じ研究所の所員だった。だが、その所員の砂川英介は、えん罪だと訴えた。3年後に自殺、不起訴になった。」
 「ありがとう。助かったよ。」
 「オジサン、探偵?」「うん。内緒に頼む。」「OK!!」

 間違いない。砂川の子孫が仕込んだ、『遠大な復讐計画』だ。
 1971年の『皆の国』。
 砂川が所属していた、新真空パック研究所では、プレゼンの最中に争議が起こっていた。
 簡単に言うと、砂川が開発した技術を大畑所長が自分の名義で特許庁に申請、マスコミに発表していた。
 そこに現れた人物を、俺は廊下から一緒に跳んだ。
 「あんたの気持ちは痛い程分かる。あんたの先祖は、砂川の妹だ。砂川は、3年後に自殺する。妹が研究を引き継いだからこそ、あんたがいる。毒を仕込んでも、砂川を助けることにはならない。それと、今阻止しないと、あんたの親を助けられない。」
 俺は、『見えない鎖』で彼を縛り、3026年の『保安檻』に跳ばした。
 背後には、『皆の国』ではなく、俺のいる次元で組織されたシッパーがいて、彼を唆したのだ。
 シッパーは次元を越え、時間を越え、有るときは構成員自ら、有るときは唆して悪事を働く。

 3026年。時間管理局。
 タイムレコーダーに体内時間を記録する前に、俺は『嘆願書』をボスに出した。
 「一応、提出する。情状酌量の余地ありと判断しても、『皆の国』に引き渡すだけ。あっちで重罪になる可能性もある。それは、覚えておけ。」

 帰宅すると、かな子は何かいい匂いのする料理を作っていた。
 「今日、あまり時間がなかったから、『真空パック』だけど、いいよね?」
 「・・・はい。」
 俺はいつ、彼女と出来たのか?未だ思い出せない。
 ま、いいか。

 ―完―