その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、ゴリ押しの『立ち退き』には、反対か賛成か?」
 「反対に決まって・・・指令ですか?」
 「お前は呑み込みが早い。頭を撫でてやろう。」
 「お断りします。褒めて下さったことは感謝します。」
 「じゃ、指令。差異は『水の国』で起こった。お前が教授と呼んでいた、次元管理局の局長が滞在していた次元だ。時間軸は1985年。当時、空港反対運動が盛んで、空港反対運動の1つで三田村闘争というのががあって、反対派と機動隊の激しい衝突があったのだが、当時存在しない火器で死者の数が膨らんだ。3026年の記録と、システムのデータが違っている。おかしいよね?」
 「シッパーの仕業ですね。」

 MRIに似た移送装置の側に衣装があった。
 俺は着替えて寝転んで睡眠学習をした。
 反対派の武器は、前回のとさほど変らない。
 反対派は、あっと言う間に殲滅され、益々憎悪は深まった。
 だが、やはり空港は建設され、反対派の運動は徒労に終る。
 それで関連した事件も増えている。

 1985年10月19日。問題の交差点、詰まり、激突が歴史に残った場所の100メートル手前でミサイルランチャーの時限装置をセッティングしている3人組がいた。
 迷彩服を着ているが、未来のものだ。
 俺は、迷うことなくミサイルランチャーを消し、3人組を『保安檻』に送った。
 明日は、激突の日。
 出来れば、闘争そのものを無くしたい。
 睡眠学習によれば、極めて理不尽な鎮圧だった。
 「工事を遅らせてはならない。日本の国益の為に必要な建設だ。代替空港なのだ。」、と言う建前は、脆くも崩れ、2大空港のまま存立し続けることになる。悲しい闘争は幾つもの書物に記録された。

 「気持ちは分かるが、それ以上は踏み込んではいけない。」後ろから声を掛けたのは、かつての上司である力石と次元管理局局長だった。

 「俺は、信頼されていなかったんですか?」
 「違う。信頼しているから、様子を見に来た。帰ろう、五十嵐。」
 「帰ろう、万華鏡。」
 2人は消えた。

 俺も、未来に、3026年に帰った。
 タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 ボスがやって来ないから、帰宅した。

 午後7時。帰宅すると、次元管理局の局長と力石と、ボスがいて、鏡開きした餅料理を食べて、帰るところだった。

 「進。喉に詰まらせちゃいけないのよ。」
 俺は、何故、とは聞かなかった。
 3026年にも理不尽な展開はあった。

 ―完―