その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、大福餅は好きか?」
 「好きです。」俺は、あたりを見渡したが、なぞなぞだな、と察した。
 「まだ、おやつの時間じゃない。尤も、おやつの時間に帰って来られる訳もない。差異が生じたのは、『沸の国』。反社が政府に半旗を翻した次元だ。時間軸は1987年と推定される。」
 「随分前ですね。」
 「うん。ある中学で大福餅中毒事件が起きた。死者も多い。中毒が発症した人は実に2296人、死者は44人。犯人や原因は特定されていない。『沸の国』の年鑑では、そうなっていた。ところが、最近書き変わった。当時は発見されていなかった『ノロビールス』が原因だと。偶然か?」
 「な訳ないですよ。」

 俺はMRIに似た移送装置に寝転がる前に、衣装を着替えた。あまりにも遠い過去の場合、今の服装では、現地で怪しまれる恐れがある。そういう時は、特に誰も説明してくれないが、衣装が用意されているのだ。
 着替えた後、移送装置に寝転がっていた。俺の爺さんでも生まれていなかったかも知れない時代だ。まだ、大戦争が始まる、ずっと前の時代だ。

 1987年。事件前日。『沸の国』。当該の中学校。
 運動会が始まった。
 いた。明らかに未来人だ。
 やばい。教師が見回りに来た。
 奴が教師の前に立ちはだかった瞬間。俺は、学校の外に奴を跳ばし、自分も跳んだ。
 いない。しまった。シッパーの部下だったか。
 俺は素早くタイムリープし、奴がこの次元に現れた時間軸に移動した。
 そして、素早く、『保安檻』に送った。
 「そこで何をしている。」
 その声に振り向くことなく、俺は、奴の置き土産を未来に跳ばし、俺も未来に戻った。

 午後5時。タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 15分前か。ふう。今日は緊迫の連続だったな。
 ロッカーに収納された俺の服に着替え、『衣装』を『衣装回収箱』に放り込む。
 後は、スタッフの仕事だ。
 時間を潰していると、ボス登場。
 「大福餅を食う暇無かったって顔だな。」
 「食ったら死ぬ大福餅をですか?奴は?」
 「黙秘している。まあいいさ。どうせ重罪だ。『沸の国』から連絡が来た。年鑑は無事戻った。原因不明の事件としてな。」
 「ノロビールスだと、全国に拡散する恐れがありますね。」
 「ああ、一種のバイオテロをする予定だったんだろう。ご苦労様。」

 午後7時。帰宅すると、かな子は変な格好?をしていた。
 そして、わざと声を震わせ言った。
 「私は、宇宙人だ。」
 「知ってるよ。でも、何故?」
 「今日は、せいじんの日、でしょ。」
 「何回、せいじん、したの?」
 「30回。」

 勝てる相手じゃなかった。

 ―完―




 ―完―

 ※このエピソードでは、実際の事件を題材にしていますが、飽くまでもフィクションです。
 ※浜一中大福餅事件
 空前の出来事なのに、記録にも人々の記憶にもあまり鮮烈に残っていない。歴史の中にはそんな事件や事故もある。静岡県浜松市で起きた旧制浜松一中の運動会での食中毒事件などは、その典型だろう。「浜松市史」によれば、大福餅を食べて発症した人は実に2296人、死者は44人というすさまじい規模。「浜松市民を混乱と恐怖に陥れ」「新聞、ラジオなどを通して全国に報道され、国民の耳目を驚かした」が、東京や大阪から離れた場所だったことと、直後に発生した「大事件」に話題を奪われたからか。しかし現場には、のちに細菌戦部隊として知られる陸軍「七三一部隊」のトップとなる人々らが大挙して駆けつけていた。