============== これは、勿論フィクションです。 =======
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。
午前9時。時間管理局。
出勤するなり、ボスは言った。
「五十嵐、予測と予知。どう違う?」
「一般的には・・・一般的には、予測は科学的根拠に基づき、予知は根拠が不明確な場合や、より強い確信がある場合に使われる、のでは?」
「五十嵐、抱きしめていいか?」
「いやです。抱きしめるのは、かな子だけで・・・何の話です?」
「差異が生じたのは、『悲の国』。お前が無人島で人助けし、『流行病』と対峙した次元だ。ところで、この国では、2024頃から、お前が言った『予知』を『予測』と混同させ、悪辣な奴らが儲けていた。その『地震予知』では、30年後に列島の半分を覆うような地震が広範囲の大地震が起こると言われていた。何年だ?」
「えと、2054年ですね。」
「今、何年?」
「3026年ですね。あ?」
「ここの次元は元より、『悲の国』でも他の次元でも大地震は起こっていない。1999年に流行った『大予言』と同じだった、と言われている。ところで、この2024年の『地震予知』が記録から消された。これが差異だ。」
「詰まり、その『地震予知』は無かった、って『後出しじゃんけん』したってことですか。」
「そうなるな。」
MRIに似た移送装置で睡眠学習を受けると、ボスの言った通りだった。次元管理局の時に次元を渡り歩いたが、その次元でも、役人が自分達の思い通りに政府を動かしていた。地震に関しては、『悲の国』では『地震科学研究会議』なるものが存在していた。
所謂『机上の論理』に過ぎないのに、それで儲ける者達が何十年も跋扈していた。
詰まり、犯人は、それをただしに行ったことになる。待てよ?俺の仕事って何だっけ?
2024年。『悲の国』。
俺は、インターネットカフェに行き、予知が決定される前夜を特定し、中心人物の教授の家を訪ねた。
先客がいた。
犯人だ。
「あなたの『かも知れない』発言が、国民を不安に陥れたんです。」
「私は、一応反対した。A予測とB予測があり、100年以上前の統計で30年後になるが、もっと近代的な統計方法なら40年後になると主張したら、それなら国民は警戒しない、と反対派多数で追い出されてしまった。おや、君は誰だ?」
「板前教授のお気持ちはよく判ります。あなたの子孫の気持ちもね。」
2人はぎょっとした。
「あなたは、その悔しさを日記に記した。それを読んだ板前・・・何君かな?」
「進です。」「板前進君は、何とかしたい、と未来からやってきた。私は、その未来からやってきた、時間管理局の警察官です。あなたが、どうするかはお任せします。ただ、彼を連れて来た『悪い奴』は逃げてしまったので、このままでは、彼は、この時間軸に取り残されて、帰れない。連れて帰っていいですか?」
「ああ。そうしてくれ。私にも、こんな子孫が出来るんだ。まだまだ頑張れる。ありがとう、進。ありがとう、未来のお巡りさん。」
進は深く先祖の教授に礼をし、両腕を俺に差し出そうとした瞬間、2人で未来に跳んだ。
午後5時。時間管理局。
タイムレコーダーシステムに体内時計を差し出すと、30分もタイムオーバーしていた。
調査時間が多すぎたか。
ボスがやってきて言った。
「差異は修復した。違った意味でな。先祖の教授は『可能性の1つだから大騒ぎしないように政府に提言』した。地震が起こらなかったことに変わりはない。だが、マスコミの『恐怖支配』は失敗に終った。当時『少子化』が危ぶまれていたが、極端な減少は起こらなかった。政府の健闘もあるだろうが、減少の下降線は、微妙に緩やかになった。『悲の国』政府は、罪を問わないそうだ。」
午後7時。帰宅すると。かな子は何度も俺を抱きしめた。
「その進って、あなたじゃないわよね。パラレルワールドのあなた。」
「本名は平凡な名前ってことさ。」
「確かめる。」
かな子は、風呂を沸かしていた。
腹減った。
―完―


