その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、映画は好きか?」
 「好きです・・・仕事ですよね。」
 「勿論だ。だが、映画鑑賞は、いい趣味だ。お前、かな子を口説いたのは映画館だったな。」
 「どうして・・・。」俺には記憶が無い。
 次元管理局で次元を飛び回っていた時、出逢った女性と『関係』を持ち、後に仲間になったのだが、殆ど『初めて』が記憶から抜けている。
 「回想シーンは終ったか?差異が生じたのは、『涙の国』。お前がミミーと出逢った次元。3026年の今、大昔の俳優が『紙芝居』をして回っている。タブレットでな。」
 「シッパーの仕業ですね。」

 MRIに似た移送装置の睡眠学習によると、システムのデータベースによると、1982年に映画『大船マーチ』で有名になった風田紋太が、当年から行方不明になり、消えた。
 そして、3026年に風田紋太が現出している。しかも、その映画の主役が違う人物になっている。それが差異だ。

 1982年。『涙の国』。
 『大船マーチ』のクランクインの前日。
 風田は交通事故に遭って、両脚を複雑骨折。共演者の一人が代役し、他の俳優が、その代役俳優の代役でスタートするよう、映画会社から指示が出た。
 俺は、新聞夕刊の交通事故から割り出した事故の数期間前に跳んだ。
 レンタカー屋。
 書類を書いて、トラックに乗り込む男に声をかけた。
 「どうやら、シッパーの親玉は映画が好きなようだな。俺も好きなんだ。でも、正しい歴史でな。」
 俺の声に、男はトラックに乗って逃走しようとした。
 ここで逃して、奴が他の交通事故に遭うのはNGだ。
 テイク2。
 俺は、トラックに乗り込む男を『保安檻』に送り込んだ。
 レンタカー屋の書類も消しておいた。

 午後5時。タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 ボスがやってきて、「ご苦労様。『涙の国』にはシッパーの手先を逮捕。風田を元の時間軸に戻した、と報告しておいた。」
 「ありがとうございます。今夜は、『大船マーチ』やります。」

 午後7時半。帰宅後。俺は衣類を全て脱いだ。
 「きよくしようさん、いや、かな子さん。あなたを口説いた時のことは忘れました。でも、この時間軸で再プロポーズします。これが俺です。妻に・・・。」
 「喜んで。満点よ、進。ご飯んも後は眠っている暇ないわよ。」
 「はい。」

 何だか、はめられた気もしたが、もういい。
 カノジョは俺の妻だ。

 ―完―