その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、人の死をどう思う。」
 「産まれた人間はいつかは死ぬ、と思います。」
 もう、なぞなぞにも慣れた。
 ミッションの『前振り』だから。
 「本論に入ろう。『大往生』した筈の人間を現代に連れてきて、歴史を改竄した者がいる。場所は『地の国』。お前が志木とういう男子高校生と出会い、投票不正を暴いた次元だ。」
 詳しいなあ。
 「で、時間軸は?」
 「差異は、突然信じられない年齢の婆さんが現れたことだ。3026年の『地の国』に連れて来られたに違い無い婆さんは、本来なら、2000年に亡くなっている。107歳でな。婆さんは、100歳の時に『ご長寿タレント』として、双子の姉妹と共にもてはやされた。だが、お前が言ったように、産まれた人間はいつかは亡くなる。亡くなった前年よりも、タレントしていた1993年に未来人が連れ去ったものとシステムは判断している。」

 MRIに似た移送装置に寝転がり、睡眠学習して、カラクリが分かった。3026年の『地の国』では、『冷凍技術』で冬眠していて、目覚めた、というイカサマ丸出しの詐欺を働いているものがいる。実は、『地の国』からも当局に依頼があったそうだ。

 1993年。地の国。
 タレント名鑑にまで載る婆さん達は、個人事務所を構え、大手事務所からテレビ等の出演依頼を受けていた。事務所の社長は、孫娘だ。

 図書館で調べた俺は、事務所まで跳んだ。
 あった。3026年でマネジメントをしている大波信一と面談のアポがあることが黒板に書いてある。
 その当日である、3日後。
 「お二人の内、片方の方でいいんです。」
 成程。失踪が発覚しなかったのは双子だからか。
 そっくりさん探すより簡単に『替え玉』を用意出来る。
 「ちょっと待ったあ。」
 俺は、偽の契約書を出し、社長である孫娘に提示している。
 本当は白紙だが、欲の強い人間が見ると高額が記載されている。

 そして、その男を廊下に連れ出し、一旦外に跳んでから、彼に言った。
 「お前は間違いなくギルティだな。」
 そう言って、俺は彼を『保安檻』に送った。
 未来で活躍中の彼と婆さんは消えた筈だ。

 午後5時。タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「シッパーは無事確保した。後は俺達は関係ない。ところで、五十嵐。ドリンク剤、追加発注したらしいな。」

 午後7時。帰宅すると、かな子は舌なめずりをした。
 だんだん、次元管理局で指揮していた女に戻りつつあった。

 「あのー。」
 「答はからだ、で。」

 た、助けてー。

 ―完―

 ※「大往生」と「平成」が結びつくのは、作家・永六輔氏の1994年(平成6年)のベストセラー『大往生』が平成時代の流行語となり、人生の終わり方を考えるきっかけを作ったこと、また、1998年(平成10年)には『大往生』というタイトルの映画が公開されたことなどが挙げられ、人生の終末期を穏やかに迎えるという概念が平成の世に広く浸透したことを示します。
 「大往生」が平成で注目された背景
 永六輔氏の『大往生』: 1994年に出版されたこの本は、老いや死をタブー視せず、生活と地続きの概念として捉え直し、200万部を超える大ヒット。当時の「終活」や「エンディングノート」といった概念が広まる前の時代に、多くの人々に衝撃と共感を与え、「大往生」という言葉自体が流行語となりました。
 「大往生」の定義: 明確な年齢定義はないものの、一般的に80歳以上など平均寿命を超えて、苦しまずに穏やかに亡くなることを指し、平成時代にこの概念が広まりました。

 作中の当該高齢者は「あの方」です、勿論。
 素敵な方でしたね。
 クライングフリーマン