その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、サッカーは好きか?」
 「嫌いとは言えないですね。」
 「じゃ、好きって言えよ。差異が生じたのは『技の国』、お前が変なお地蔵さんを作った次元だ。3026年、『終身名誉選手の像』が変っている。システムのデータベースで分析したところ、国内サッカーリーグが始まった、1993年が怪しい。『終身名誉選手』が現役の頃、スター選手だった。『終身名誉選手』の像が出来たのは100年位前だが、その時に既に入れ替わっている。」

 俺は、例によって、MRIに似た妙なマシン、移送装置に寝転がった。
 妙な、というのは、システムが容易した睡眠学習で『予習』をすることになっているからだ。
 1993年。チームのスター選手は新裏選手と天田選手だった。
 時間軸は、優勝戦の日に決まった。ハーフタイムの後、怪我の為、控えだった天田選手が新裏選手と交替した。ファンは不審に思ったが、試合は優勝になった。

 そういうことか。
 俺は、ハーフタイムに入る直前にタイムリープした。
 新裏選手は、どこからか跳んで来た吹き矢に脚を刺された・・・かに見えた。
 吹き矢は消えた。

 「ダメじゃないか。ルール知らないのか?まだ半分、残ってるんだよ。済みません、甥っ子はそそっかしくて。」
 俺は、新裏選手とマネージャー、監督に頭を下げ、駆けつけた警備員に頭を下げ、表に出た。
 皆、苦笑した。
 試合終了と勘違いした少年が紛れ込んだ、と解釈したのだ。
 外に出て、すぐに、俺は近くに止まっていたクルマの裏に跳んだ。
 少年が持っていたバッグを改めた。やはり。
 「一緒に来た奴は?」「後で迎えに来るって・・・来ないの?オジサンは誰?」
 「簡単に言うと、時間警察だ。新裏選手は単なる怪我くらいなら走ってプレイするだろう。でも。麻痺剤打たれたら無理だ。君が用意出来る訳もない。未来の薬だからな。一緒に来た奴は、『愉快犯』のつもりだろうが、そいつは重罪犯罪だ。君は違う。でも、悪いが送り返す。」
 俺は、『保安檻』に少年を跳ばした。
 唆され騙されたのだ。恐らく説諭の上、3026年の『技の国』に強制送還だろう。

 午後5時。タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「今、連絡が入った。強制送還だ。後は、向こうの政府次第だな。」と、ボスが言った。

 午後7時。帰ると、かな子はパンチングボールを蹴っている。
 俺の写真を貼って。

 「俺、何か悪い事した?」「私を1日、ほったらかしにした。」
 「仕事でしょう。浮気していないことは・・・あ。」
 ドリンク剤の箱の段ボール山が玄関に積んである。

 俺は見ない振りして着替えに行った。

 ―完―