その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、電車乗るのは恐いか?かな子に乗られるのは恐いか?」
 「前者は、特に恐いと思ったことはありません。後者は・・・その質問、誘導ですか?どうせ、女房に告げ口するんでしょ。」
 「お前は、言い部下だ。差異が起こったのは、『双の国』、お前が変な選挙ポスター、見付けた次元だ。」
 「その情報は要らないと言おうと思ったら、無視された。」
 「時間軸は、2005年。大きな列車脱線事故が起こった年だ。差異は、3026年、事故が『無かった』ことになっている点だ。おかしいよな?」
 「おかしいですね。羽振りがよくなった一族は?」
 「システムによると、いない。株取引の類いじゃないな。」
 「遺族?」
 「五十嵐。推理は睡眠学習の後にしろ。」

 俺は、MRIみたいな移送装置に横になった。
 どうも、この機械、馴染めないなあ。

 2005年。『双の国』。事故が起こる1ヶ月前、鉄道会社の公聴会に記者の振りして潜入、先輩にしごかれている新人鉄道マンを見かけた。睡眠学習によると事故を起こして亡くなった運転手だ。

 事故の1日前。その脱線事故が起こった路線の線路を子細に調べている青年がいた。
 そして、彼は、偽造した運転免許証でレンタカーを予約した。
 レンタカー屋から出てきた彼を俺は近くの公園に跳ばした。
 「君と一緒に来た未来人は?」
 無言。それが全てを物語っていた。
 シッパーの手下にも色々いる。
 過去に住みつく者もいれば、依頼人を連れて来て、そのままトンズラする者もいる。
 前者ならシッパーを逮捕出来るが、今回は後者だ。
 「未来に帰れなくなってもいいのかい?」
 「ご先祖様は、濡れ衣着せられて亡くなりました。会社の無茶苦茶な『タイムテーブル遵守』も悪いが、律儀に守ろうとした運転手がパニクった方も悪いって。」
 「君が歴史を改竄することで助かる命は沢山ある。でも、『真犯人』は、そのままだ。君がこの時代で見付けられなかったことは、未来で分かっている。真犯人は、別の交通事故で亡くなる運命なんだ。悪いな。レンタカーはキャンセルしておく。」

 俺は、3026年の『保安檻』に送り、レンタカー屋に寄った。

 3026年。時間管理局。午後5時。
 退勤師簡になったから、ライムレコーダーに体内時計をスキャンさせた。

 そして、ボスに言った。
 「一番恐いのは、犯罪に走る狂気です。」

 午後6時。帰宅すると、かな子は言った。
 「お帰り、恐い恐い女房のもとへ。」

 かな子は、何故か包丁を必要以上に研いでいた。

 俺は、急いで着替えた。
 『差異』が生じないように祈って。

 ―完―