その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、暑いのは得意か?」
 「苦手じゃありません。」
 「装置の中で着替えろ。場所は『重の国』。お前が、元製紙会社会長の書斎に『お邪魔』した次元だ。」
 「あのー、俺の行動履歴の解説、要ります?」
 「趣味だ。時間時機は2011年。台風の後の大水害があった年。そこから『差異』がある、とデータベースから特定した。現在。3026年の『重の国』では、その時の被害者の子孫が、隣国に肩入れし、輸出しだした。それで、経済が混乱している。その被害の様子を語った『伝記』を出版している。」
 「過去で見て来たから、よく知っている、と。何か裏がありそうですね。」

 俺は、睡眠学習で、システムが『怪しい』と判断された人物の名前と顔を覚えた。

 重の国。2011年。
 台風の後の大水害があった後、ある貴金属と古銭を扱うチェーン店の本社ビルが、皮の氾濫の後、多くを紛失、いや、盗難に遭っていた。
 警察は、押し流されたのだろう、と公表したが、経営者は目撃情報を独自に調べ、似顔絵を駅や、人の集まりやすい場所で配った。
 『火事場泥棒』。実際は『災害泥棒』は、いつの世にも存在する。地震で空き巣に入られた、という話ははよく聞く。
 俺は、そのチラシを受取り、じっくり観察した。
 似ている。後で調べよう。
 「知ってる人?」「いや、知り合いに興信所やってる人がいるんだ。何か調べられるかと思ってさ。」
 「じゃ、頼むよ。」と、俺は元社員だった人に数枚チラシを貰った。
 睡眠学習で覚えた人物だ。
 システムが弾き出した『差異』は、現実のデータベースでは、この会社は水害以外の被害に遭っていない。

 俺は腕時計を触って、タイムリープをした。
 3023年。貴金属や古銭のオークションで出品する若者がいた。
 こいつだ。
 俺は、全部『競り落とし』た。

 出品者の控え室。「全部無かったことにしてやってもいいよ。」
 俺は隙を見て、出品者越後孝太郎の側にいるシッパーの手先を先ず『保安檻』に送った。

 2011年。盗まれたことが発覚した時間軸の前に俺はタイムリープした。
 そして、しょげている社長の前に、盗品の入ったスーツケースから全て吐き出し、スーツケースを消した。
 「川の下流で、この人が拾い集めてくれたんです。以前からボランティア活動に興味があったので、ここに持って来ることにしたそうです。」
 「あなたは?」「警備員です。今日は非番なので私服ですが。彼に相談して、まずはお渡しした方が、と思いまして。」
 俺達は廊下に出ると、すぐに近所の公園に『移動』、奴に有無を言わさず『保安檻』に送った。
 「重罪だからな、悪く思うな。」

 3026年。時間管理局。午後5時。
 タイムレコーダーに俺の体内時計をスキャンした時、サイレンが鳴った。
 「悪い悪い。今のは予行演習だ。身体検査もしたが、異常ない。お前は潔白だ。」
 「あれ、タダのタイムレコーダーじゃないんですか?」
 「身体検査もやってる。空港なんかにあるだろう?」

 午後7時。
 帰宅して、身体検査の話をすると、「じゃ、夕食の後、身体検査するわね。被疑者とセックスしてないわよね。」
 「被疑者は男だ。俺には、そんな趣味はない。」
 しまった。今のは、誘導尋問だ。

 そして、待っているのは・・・。
 「あなた。お味噌汁が冷めちゃうわよ。『ホタテ』汁が。」

 何か、恐い。

 ―完―