「いいですよ、なっても」


だめだってわかってた。


「!、、、っ間宮、さ、」


本音なんか押し殺して、見ないふりをすれば
全部それで解決する話だって。


「だ、、め、、」

「だめ、?本当に?」

「っ、、、、」

「だめならいくら酔ってたって
そんな簡単に男の家に入っちゃいけませんよ。」


ふわふわの白いベッドが沈む。
縫い付けるように、私の腕をつかむその手が大きくて、ああ、やっぱり男の人なんだ、なんてそんな些細な事実に胸がぎゅっとなる。

間宮さんのこと、こんなに近くで見たの、はじめてで。
ふと視線を向けると、知らない顔をしていて。

熱っぽい瞳が、あまりにも、綺麗で。


「、、っ」

「で、俺のものになってくれるの?」


そんな聞き方されて、頭を横に振れるわけない。
でもきっと頷いたら、もう戻れない。


「ほっとけない子だなと思ってた。
配属されたたてなのに仕事を覚えるスピードが早くて、内心ちょっと焦ってたんだよ。
そんな後輩、今までいなかったから。」


夢みたいだ。
私、今、間宮さんに褒められてる。


「どうにかなりそうなのは俺の方だよ。」


自然に解かれた敬語。
熱っぽい表情も、触れる優しい指先も
口調さえ、初めて聞いたもので。

すべて身を任せたら
どれだけ楽になれるだろう。


この誘惑に、乗ってしまえたら、



「そんな可愛い顔で見ないでよ、もう眠いんでしょう。」


ああ、目が、閉じてゆく。


もっと見ていたいのに。


もっと、触れていたいのに。



「良い子は寝てください。
このベットで寝ていいから。」



ふ、と笑って
私の髪をそっと撫でた。



ああ、神様

これが夢なら、醒めないで。




「おやすみ」






これが、恋なら、







fin.