雨の雫が落ちる中、恋心すら、崩れ落ちてしまっている。
 雨は空の涙。
 
「では、授業を終わります。」
 いつも通り、受験対策として塾に通いだした。

 すごく退屈だと感じている。
 受験は、もはやストレスとの戦いでもある。だからこそ、恋に現を抜かすこともあるし、身を投げ出す行為もする。冬寒さが追い打ちをかけるように身に当たってしまって、心はもう、ズタボロとしか言いようがない。
水本(みずもと)。一緒に帰ろう。」
 優しく話しかけてきたのは、幼馴染みという曖昧な言葉で無理やり括っている仲の鈴森(すずもり)だ。私は、この関係が好きではない。
 受験生になって鈴森と過ごす時間が増えて、前よりもっと彼女のことを知るようになり、好意を抱いてしまった。
「いいけど、鈴森って真逆の方向だよね。」
「気分転換なの~、受験のせいで心が死んじゃう。」
 お気楽だな。と感じつつも、可愛いと思っているのも事実。
 人生何が起きるかわからないというけれど、本当にそう思う。今までは鈴森のことを好きになるなんて思わなかった。
 でも、そのおかげで受験へのストレス発散になり、学校が楽しいって思えた。ただ、一つ心残りなのは、鈴森がほかの人と話していることが、私のことだけ見ないのが、嫌だ。嫌悪感がする。
 この心は「普通」だと思う。
 この感情は誰もが抱いて悩むもの。

 俗に言う「嫉妬」だね。
 気持ちがズキズキって何かに刺されている感じがする。
 ルンルンとスキップをして帰る鈴森は幼児退行したのかと勘違いするくらいかわいらしい。
「ねぇ、やっぱり同じ高校に行こうよ。」
「言ったでしょ、私は偏差値が高いところに行かないといけない。鈴森は、スポーツで行くんでしょ。」
 そう、元々行く方法が別なため、必然的に高校も異なる。
 私は会えなくて寂しいがGPSは継続させておくし、まだ安心だ。鈴森は何も知らなくていい。ずっと友達、いや幼馴染みという関係をかみしめていてほしい。
 愛を伝えるのは難しいけど、一方的に思う「恋」は悪いことではない。
「恋は自由。愛は共有。」私が今まで生きていて感じたこと。浮気することは、愛することを放棄した」ということ、いわば心の乱れ。

 この思いは鈴森には言わない。言うことができない思い。だからこそ、あなたを心の底で愛するの。