おにぎり同好会の活動は今日も行われる。
白熊・あざらし・ぺんぎん・斑鳩の四人でおにぎりを食べながらお喋りを楽しんでおり、ふと、会話が途切れた瞬間に、ぺんぎんが先輩二人に向けてこう訊ねた。
「そういえば先輩方、今日の授業で分かんなかった所がありましてー」
「教科は?」
「数学の……見せた方が早いっすね」
そもそも訊くつもりでいたのか、レジ袋に教科書を入れて持ってきていたぺんぎん。まずは隣にいた斑鳩に見せ、分からない箇所を指差した。
「これなんすけど」
「あー、これはな」
確かこれをあれしてこうするんだよ、と淀みなく斑鳩は説明し、ぺんぎんはきらきらと目を輝かせて斑鳩を見た。
「すっげえ……。分かりやすかったっす、ありがとうございます!」
「ついでだから、他にもあれば教えてやるよ」
「斑鳩先輩! 一生ついていきます!」
「はっ、ほらどこだよ」
おにぎりを片手に勉強をする二人を、あざらしは微笑ましそうに見つめながら、自分のおにぎりを食べ進めていた。
いつもはお喋りをしていたが、たまには勉強をするのもいい刺激になるなと、そんな風に心の中で思っていると──白熊が顔を覗き込んできた。
「わっ、何ですか、白熊先輩」
「あざらし君も、何か分かんない所ない?」
「あっ……今はないですね」
「そっかあ」
「……分かんない所があったら、教えてくれます?」
「もちろん。ただ、ベルーガほど頭は良くないから、俺でも分かんない所があるかもしれないけど、その時は一緒に解き方を探そう」
「楽しそうです、是非」
そのように会話している内に、斑鳩とぺんぎんの授業は終わったらしい。ぺんぎんが教科書を片付けていた。
「また教えてくださいねー!」
「気が向いたらな」
「やりー!」
有意義な時間になったらしい。
斑鳩はぺんぎんを見た後、あざらしを見て、何か口を開き掛けたが、
「──あざらし君には俺が教えるから大丈夫」
白熊がそう口にした為、何を言おうとしたのか聞けなかった。
「あ……おう……」
うわーと言いたげな斑鳩の態度に、あざらしは首を傾げたが、疑問を口にする間もなく、その華奢な肩を跳ねさせる。
また、机の下から、白熊が手を握ってきたのだ。おずおずと握り返せば、あざらしの手は温もりに包まれた。
「せっかくだし、宿題とか、復習とかさ、一緒にやらない?」
「……あ、皆で、ですか?」
「いや二人だけだと思うぞー、あざらしー」
あざらしの返答に、すかさずぺんぎんが突っ込む。
「丁治の性格的にそうだろうな」
斑鳩は白熊を下の名前で呼ぶ。鮫島や祖母のように、てふとは呼ばない。ふざけても呼んだことはなかった。
「二人で、がいいな。どうかな?」
訊ねてくる白熊の声には、ほんのり甘みがあって、頭が少しくらくらしてきたあざらし。
「……ご、ご迷惑でなければ」
「じゃあ、さっそく今日から、なんてどう?」
「い、いいです」
「やった、放課後迎えに行くね」
こくん、と恥ずかしそうに頷くあざらしの横で、ぺんぎんと斑鳩は話し合う。
「白熊先輩って肉食っすよね、わりと」
「何言ってんだ、白熊なんだぞ? そりゃ肉食だろうが」
「あー確かに」
こうして勉強会、もとい、放課後デートの約束は取り付けられた。
白熊・あざらし・ぺんぎん・斑鳩の四人でおにぎりを食べながらお喋りを楽しんでおり、ふと、会話が途切れた瞬間に、ぺんぎんが先輩二人に向けてこう訊ねた。
「そういえば先輩方、今日の授業で分かんなかった所がありましてー」
「教科は?」
「数学の……見せた方が早いっすね」
そもそも訊くつもりでいたのか、レジ袋に教科書を入れて持ってきていたぺんぎん。まずは隣にいた斑鳩に見せ、分からない箇所を指差した。
「これなんすけど」
「あー、これはな」
確かこれをあれしてこうするんだよ、と淀みなく斑鳩は説明し、ぺんぎんはきらきらと目を輝かせて斑鳩を見た。
「すっげえ……。分かりやすかったっす、ありがとうございます!」
「ついでだから、他にもあれば教えてやるよ」
「斑鳩先輩! 一生ついていきます!」
「はっ、ほらどこだよ」
おにぎりを片手に勉強をする二人を、あざらしは微笑ましそうに見つめながら、自分のおにぎりを食べ進めていた。
いつもはお喋りをしていたが、たまには勉強をするのもいい刺激になるなと、そんな風に心の中で思っていると──白熊が顔を覗き込んできた。
「わっ、何ですか、白熊先輩」
「あざらし君も、何か分かんない所ない?」
「あっ……今はないですね」
「そっかあ」
「……分かんない所があったら、教えてくれます?」
「もちろん。ただ、ベルーガほど頭は良くないから、俺でも分かんない所があるかもしれないけど、その時は一緒に解き方を探そう」
「楽しそうです、是非」
そのように会話している内に、斑鳩とぺんぎんの授業は終わったらしい。ぺんぎんが教科書を片付けていた。
「また教えてくださいねー!」
「気が向いたらな」
「やりー!」
有意義な時間になったらしい。
斑鳩はぺんぎんを見た後、あざらしを見て、何か口を開き掛けたが、
「──あざらし君には俺が教えるから大丈夫」
白熊がそう口にした為、何を言おうとしたのか聞けなかった。
「あ……おう……」
うわーと言いたげな斑鳩の態度に、あざらしは首を傾げたが、疑問を口にする間もなく、その華奢な肩を跳ねさせる。
また、机の下から、白熊が手を握ってきたのだ。おずおずと握り返せば、あざらしの手は温もりに包まれた。
「せっかくだし、宿題とか、復習とかさ、一緒にやらない?」
「……あ、皆で、ですか?」
「いや二人だけだと思うぞー、あざらしー」
あざらしの返答に、すかさずぺんぎんが突っ込む。
「丁治の性格的にそうだろうな」
斑鳩は白熊を下の名前で呼ぶ。鮫島や祖母のように、てふとは呼ばない。ふざけても呼んだことはなかった。
「二人で、がいいな。どうかな?」
訊ねてくる白熊の声には、ほんのり甘みがあって、頭が少しくらくらしてきたあざらし。
「……ご、ご迷惑でなければ」
「じゃあ、さっそく今日から、なんてどう?」
「い、いいです」
「やった、放課後迎えに行くね」
こくん、と恥ずかしそうに頷くあざらしの横で、ぺんぎんと斑鳩は話し合う。
「白熊先輩って肉食っすよね、わりと」
「何言ってんだ、白熊なんだぞ? そりゃ肉食だろうが」
「あー確かに」
こうして勉強会、もとい、放課後デートの約束は取り付けられた。



