俺をすきだと言った後輩とよく似たひとが護衛騎士になりました

「部活なにやってたんですか」
 え、と隣を見上げれば、紺色のブレザーを着た皆藤くんと目が合う。出会ってから今日で三日が経つ。ちなみにいま手は繋いでいない。さすがに学校から駅までの道は目立ちすぎるから。いや、電車に乗ればいいっていうわけじゃないけど。
「前に、いまは入ってないって言っていたので。入っていたこともあるんだろうなって」
 きゅ、と柔く縮んだ心臓がゆっくりと鼓動を始める。掠めたのは罪悪感に似たなにか。俺が何をしていても皆藤くんには関係のないことで、いまだってごく普通の日常会話として聞いているだけだ。それでも、御影に似た皆藤くんに話すのは、少しだけ寂しさが浮かぶ。納得のうえでだったけど、自分から手放したことに変わりはないから。
「バスケ部だったんだ、俺」
「どうして辞めたんですか」
「もともと二年までっていう約束だったから」
 両親に言われたのだ。三年生になったら部活ではなく受験を優先してほしいと。入部したときから引退まではできないと先輩たちにも伝えていて、それでもいいと言ってもらった。終わりがほかのみんなより早いというのは、試合に出られるチャンスが少ないということだ。悔しさがなかったとは言えないけど、自分ができることを必死でやって、やりきったと思えるくらいにはなれた。
「後悔はないよ。俺だけのお疲れ会まで開いてもらったし」
 こうやって思えるのも、あのとき御影に会ったから。あの冬がなければ、俺はいまの学校に来ていないし、バスケも中途半端にしかできなかっただろう。
「俺はそんなに器用じゃないから。ひとつのことに集中するほうが向いてるんだよね」
「そう、ですか」
「っていうか、皆藤くんこそ、部活入らなくていいわけ? 見学会参加してたんでしょ?」
 背は高いし、肩も腕も俺より厚みがある。中学では運動部だったのではないだろうか。
「まだ仮入部期間中だし、気になるとこあるなら行ったほうがいいよ」
「――考えておきます」
「うん」
 せっかく入学したのだから、俺のためだけに時間を費やすべきじゃない。いや、そもそも俺が甘えすぎなのがいけないんだよな。皆藤くんから言ってきたとはいえ、早くひとりで大丈夫だと言えるようにならないと。
「先輩」
「ん?」
 改札を抜けたタイミングだった。夕方に差し掛かる、まだ明るい時間帯。駅もそれほど混雑はしていない。だからこそ、呟くような呼びかけも落とすことなく拾えた。
「明日は塾なんですよね」
「うん」
「じゃあ、俺も部活見にいってきます」
「そっか」
「それで、終わる時間に待ち合わせでいいですか?」