あたしは月島小夜。
あたしの住む佐苗島には、猫の神様を祀る神社がある。
小さな頃、猫とお話ができたら素敵だろうと、その神社にお願いをした。
願いは叶い、あたしは島中の猫たちと会話ができるようになった。
それだけ聞くと、おとぎ話のようで羨ましいと言われそうだけど、現実は少し違う。
猫同士の会話はもちろん、島中のあらゆる噂が猫たちを通してあたしの耳に届くようになった。
……そりゃあもう、島民たちの噂話から色恋沙汰まで、なんでもかんでも。
どうしても島の事情に詳しくなってしまうし、耳年増だなんて呼ばれる始末。
そんな事情もあって、あたしはこの力をひた隠しにしていた。

