〇陽琉の部屋(夜)
勉強机の前、正座の格好で裏返しのコンパクトと向かい合っている陽琉。
コンパクトから笑い声がする。
陽琉、おずおずとコンパクトの鏡を見る。
映っているニコニコの加賀美。
陽琉「あっ」
加賀美「こんばんは陽琉さん、お久しぶりですね。そうでもなかったですっけ」
陽琉「け、結構久しぶりだと思います……」
加賀美「おやおやそうでしたか。またお会いできて嬉しいですよ」
陽琉「あ、ありがとうございます……」
加賀美「まあもう夜も遅いのでね、明日トンネルでお待ちしています。ねっ」
陽琉「えっ!?」
もう加賀美も琥珀もおらず、陽琉が映っているだけのコンパクトの鏡。
陽琉「どういう……」
目をぱちぱちさせる陽琉。
〇革多トンネル(早朝)
まだ人が活動し始めるには早い時間。
トンネルの前には朝日がさしている。
私服姿でトンネルに足を踏み入れる陽琉。
トンネルを歩いていくが、誰もいない。
陽琉「朝じゃ、なかったのかな……」
踵を返す陽琉。
目の前に加賀美。
陽琉「わあっ!」
陽琉、驚いてのけぞり、尻もちをつく。
加賀美「おはようございます陽琉さん。良い朝ですねえ」
陽琉「お、おはようございます……」
ポカンとしている陽琉。
加賀美「まあ、なるようにしかならないのでね」
陽琉「はい?」
加賀美「おっとこれはもう少し後の言葉でしたね。うっかりうっかり」
陽琉「は、はあ……」
目を泳がせる陽琉。
加賀美「何かお探しですか?」
陽琉「え? い、いや……あなたが不思議すぎて挙動不審になってるだけで……」
加賀美「ほほほほほ。いや、隠さなくていいんですよ」
陽琉「何も隠してない……」
話を聞かない加賀美。
加賀美「心配しなくとも。彼と陽琉さんは、また出会いますよ」
呆然と加賀美を見つめる陽琉。
陽琉「あの、あの人は……というかあなたは一体……」
加賀美「必要ない必要ない。名乗るほどのものではございません。彼の正体については、ご自分でお確かめなさい」
陽琉「は、はあ……」
加賀美「受けた恩は返すべきです。礼は鏡であることもあれば……」
加賀美、陽琉の顔を見てにっこりと笑う。
加賀美「それ以外のこともある。それだけのこと」
陽琉、キョトンとしている。
加賀美「では陽琉さん」
陽琉「あ、あの!」
加賀美の言葉を遮る陽琉。
陽琉「私逃げちゃったんです……どうしてかわからないけど。私、どうしたらいいんですか……?」
加賀美「はは、好きになさればよろしい。あなたの思うままにすればいいんです。まあ、なるようにしかならないのでね」
つかみどころのない答えに首をひねる陽琉。
笑顔を崩さない加賀美、帽子を少しだけ上にあげる。
加賀美「では、わたくしはこれにて」
引き止めるために口を開こうとする陽琉に、強い風が吹き抜ける。
陽琉、耐えられずに目を伏せる。
陽琉「っ……」
目を開ける陽琉。
目の前には誰もいない。
もと来た道がトンネルの向こうにも続いている。
陽琉「何もわからなかった……のに、なんだか、ざわざわする」
思わずそうつぶやく陽琉。
背後を振り向く。
行き止まりになっているトンネル。
手元のコンパクトを見る陽琉。
陽琉の耳の中で加賀美の言葉、琥珀の言葉が次々再生される。
加賀美の声の記憶「彼と陽琉さんは、また出会いますよ」
琥珀の声の記憶「俺とお前はまた出会う。必ず」
きゅっと唇を引き結ぶ陽琉。
陽琉「なるようにしか、ならないんだから」
立ち上がって行き止まりに向き合う。
コンパクトを開き、大正の街へ足を踏み入れる陽琉。
〇束樹町・道(朝)
まばらな人影。
透けている陽琉、恐る恐る歩いていく。
琥珀の姿は見当たらない。
陽琉「いない……」
陽琉、足を止める。
少しだけ俯き、ほっとしている気持ちと残念な気持ちで複雑な微笑みが浮かぶ陽琉。
陽琉(考えても仕方ないし。あの人のことは忘れよう)
陽琉、顔を上げる。
陽琉「朝のこの町も良いなあ」
にっこりと笑う陽琉。
歩き出そうとした陽琉の腕を後ろからつかむ者(琥珀)がいる。
琥珀の声「見つけた」
びくっとして振り向く陽琉。
陽琉「あ……!」
腕は強く握られていてびくともしない。
陽琉の心臓、なぜか一瞬大きく跳ねる。
琥珀「おはよう。良い朝じゃないか」
陽琉「お、おはようございます」
琥珀「今日は逃げないのか?」
陽琉「今はちょっと逃げたくなってます……」
くすくす笑う琥珀。
琥珀「だが残念。逃がさない」
琥珀、陽琉の腕を持ち上げて見せる。
琥珀「お前は一体……何者なんだ」
陽琉「私は普通の中学生で……えっと」
ニッと笑う琥珀。
琥珀「いいさ。時間はいくらでもある」
琥珀、自分のほうに陽琉の腕を引く。
琥珀「座れるところに行こう。お前、名は」
陽琉「都並陽琉……」
琥珀の目がいつくしむように細められる。
琥珀「まぶしいな。ひかる」
なぜか琥珀から目が離せなくなる陽琉。
琥珀「こっちだ」
踵を返す琥珀。
よろけつつ、琥珀に腕をひかれていく陽琉。
〇束樹山・川辺(朝)
澄んだ水が流れ、木漏れ日が差し込んでいる。
琥珀の隣で体育座りをしている陽琉。
陽琉(少し登っただけで随分雰囲気が変わる……)
陽琉、きょろきょろとあたりを見回している。
琥珀「面白いか?」
首をかしげる琥珀。
陽琉「えっと、はい」
こくりと頷く陽琉。
琥珀「なら良かった」
微笑む琥珀。
ぎこちなく微笑み返す陽琉。
琥珀「お前、あの男に会ったんだろう」
陽琉「あの男……?」
琥珀「シルクハットのつかめない男」
陽琉「ああー! 会いました! そうです!」
陽琉、ぶんぶん首を縦に振る。
琥珀「俺も会った」
陽琉「会ったって……お知り合いじゃないんですか?」
琥珀「知らん。急に出てきて急にいなくなった」
陽琉「ええ……誰に対してもそうなんだ……」
ポカンとする陽琉。
琥珀「犬に吠えられていたから……追い払ってやったんだ」
陽琉「あの人いつも吠えられてるんだ……」
琥珀「なんだ」
陽琉「い、いえ。なんでも」
少し笑ってしまった表情を隠す陽琉。
宙の何もないところを見る琥珀。
琥珀「あの男は人じゃない。俺みたいなものとも違う」
陽琉「え」
琥珀「なんだ」
陽琉「あの人はなんとなく人じゃなさそう……だと思ってたけど。あの、あなたも」
琥珀「ああ。あの男はおそらく神の類。そんな大層なものじゃないが、俺も人ではない」
呆然とする陽琉。
琥珀「お前は違うのか」
陽琉「私は人間です……本当に、普通の」
目線をさまよわせる陽琉。
陽琉をじっと見つめる琥珀。
琥珀「お前、この時間の人間じゃないだろう」
顔を上げ、一瞬迷った後頷く陽琉。
琥珀「それは普通か?」
陽琉「あの、あの人がコンパクトをくれて……私、私自身は本当に……」
しどろもどろになる陽琉。
琥珀「何も責めてはいない。そうか、やはり」
一拍置く琥珀。
琥珀「お前はここにはいないんだな」
陽琉、琥珀の顔を見つめるが感情が読み取れない。
琥珀「……それでも良いさ」
柔らかく微笑む琥珀。
琥珀から目が逸らせなくなる陽琉。
琥珀「陽琉」
陽琉、何故だか涙が出そうで目を逸らす。
琥珀「ここにはよく?」
陽琉「えっと……それなりに」
琥珀「そうか。俺にはお前が分かる。お前がここに来たら、声をかけることにしよう」
陽琉、琥珀に顔を向ける。
琥珀、まっすぐな瞳で陽琉を見ている。
陽琉「それは……どうして」
琥珀「どうしても」
目を伏せる琥珀。
琥珀のまつ毛を見つめ、ぎゅっと胸元を握る陽琉。
陽琉(この人を見てると胸が締め付けられるのに……ずっと見ていたくなる)
顔を上げる琥珀。
琥珀「町に戻ろうか。その方が楽しいだろう」
陽琉に笑いかける琥珀。
陽琉「ありがとうございます。この川辺も、綺麗で好きですよ」
慌てて笑い返す陽琉。
あいまいに笑う琥珀。
〇束樹町・道(朝)
人が増えてにぎわっている。
琥珀と並んで歩いていく陽琉。
陽琉「そういえば、あなたの名前は?」
琥珀「……琥珀」
陽琉「琥珀。良い名前ですね」
琥珀「ありがとう」
反対から歩いてきた男性とぶつかりそうになるが、器用に避ける琥珀。
その様子を、どこかうらやましそうに見ている陽琉。
陽琉「あの帽子の人のことは知らないって言ってたけど、ほかにお友達は?」
目を輝かせる陽琉。
琥珀の顔に影が差す。
琥珀「いや……ここにいるのは皆人間だ」
陽琉「?」
琥珀「俺は人間とは関われないからな」
陽琉「……え?」
冷水をかぶったような感覚になる陽琉。
陽琉、口を開こうとするが、どうしても言葉が出てこない。
勉強机の前、正座の格好で裏返しのコンパクトと向かい合っている陽琉。
コンパクトから笑い声がする。
陽琉、おずおずとコンパクトの鏡を見る。
映っているニコニコの加賀美。
陽琉「あっ」
加賀美「こんばんは陽琉さん、お久しぶりですね。そうでもなかったですっけ」
陽琉「け、結構久しぶりだと思います……」
加賀美「おやおやそうでしたか。またお会いできて嬉しいですよ」
陽琉「あ、ありがとうございます……」
加賀美「まあもう夜も遅いのでね、明日トンネルでお待ちしています。ねっ」
陽琉「えっ!?」
もう加賀美も琥珀もおらず、陽琉が映っているだけのコンパクトの鏡。
陽琉「どういう……」
目をぱちぱちさせる陽琉。
〇革多トンネル(早朝)
まだ人が活動し始めるには早い時間。
トンネルの前には朝日がさしている。
私服姿でトンネルに足を踏み入れる陽琉。
トンネルを歩いていくが、誰もいない。
陽琉「朝じゃ、なかったのかな……」
踵を返す陽琉。
目の前に加賀美。
陽琉「わあっ!」
陽琉、驚いてのけぞり、尻もちをつく。
加賀美「おはようございます陽琉さん。良い朝ですねえ」
陽琉「お、おはようございます……」
ポカンとしている陽琉。
加賀美「まあ、なるようにしかならないのでね」
陽琉「はい?」
加賀美「おっとこれはもう少し後の言葉でしたね。うっかりうっかり」
陽琉「は、はあ……」
目を泳がせる陽琉。
加賀美「何かお探しですか?」
陽琉「え? い、いや……あなたが不思議すぎて挙動不審になってるだけで……」
加賀美「ほほほほほ。いや、隠さなくていいんですよ」
陽琉「何も隠してない……」
話を聞かない加賀美。
加賀美「心配しなくとも。彼と陽琉さんは、また出会いますよ」
呆然と加賀美を見つめる陽琉。
陽琉「あの、あの人は……というかあなたは一体……」
加賀美「必要ない必要ない。名乗るほどのものではございません。彼の正体については、ご自分でお確かめなさい」
陽琉「は、はあ……」
加賀美「受けた恩は返すべきです。礼は鏡であることもあれば……」
加賀美、陽琉の顔を見てにっこりと笑う。
加賀美「それ以外のこともある。それだけのこと」
陽琉、キョトンとしている。
加賀美「では陽琉さん」
陽琉「あ、あの!」
加賀美の言葉を遮る陽琉。
陽琉「私逃げちゃったんです……どうしてかわからないけど。私、どうしたらいいんですか……?」
加賀美「はは、好きになさればよろしい。あなたの思うままにすればいいんです。まあ、なるようにしかならないのでね」
つかみどころのない答えに首をひねる陽琉。
笑顔を崩さない加賀美、帽子を少しだけ上にあげる。
加賀美「では、わたくしはこれにて」
引き止めるために口を開こうとする陽琉に、強い風が吹き抜ける。
陽琉、耐えられずに目を伏せる。
陽琉「っ……」
目を開ける陽琉。
目の前には誰もいない。
もと来た道がトンネルの向こうにも続いている。
陽琉「何もわからなかった……のに、なんだか、ざわざわする」
思わずそうつぶやく陽琉。
背後を振り向く。
行き止まりになっているトンネル。
手元のコンパクトを見る陽琉。
陽琉の耳の中で加賀美の言葉、琥珀の言葉が次々再生される。
加賀美の声の記憶「彼と陽琉さんは、また出会いますよ」
琥珀の声の記憶「俺とお前はまた出会う。必ず」
きゅっと唇を引き結ぶ陽琉。
陽琉「なるようにしか、ならないんだから」
立ち上がって行き止まりに向き合う。
コンパクトを開き、大正の街へ足を踏み入れる陽琉。
〇束樹町・道(朝)
まばらな人影。
透けている陽琉、恐る恐る歩いていく。
琥珀の姿は見当たらない。
陽琉「いない……」
陽琉、足を止める。
少しだけ俯き、ほっとしている気持ちと残念な気持ちで複雑な微笑みが浮かぶ陽琉。
陽琉(考えても仕方ないし。あの人のことは忘れよう)
陽琉、顔を上げる。
陽琉「朝のこの町も良いなあ」
にっこりと笑う陽琉。
歩き出そうとした陽琉の腕を後ろからつかむ者(琥珀)がいる。
琥珀の声「見つけた」
びくっとして振り向く陽琉。
陽琉「あ……!」
腕は強く握られていてびくともしない。
陽琉の心臓、なぜか一瞬大きく跳ねる。
琥珀「おはよう。良い朝じゃないか」
陽琉「お、おはようございます」
琥珀「今日は逃げないのか?」
陽琉「今はちょっと逃げたくなってます……」
くすくす笑う琥珀。
琥珀「だが残念。逃がさない」
琥珀、陽琉の腕を持ち上げて見せる。
琥珀「お前は一体……何者なんだ」
陽琉「私は普通の中学生で……えっと」
ニッと笑う琥珀。
琥珀「いいさ。時間はいくらでもある」
琥珀、自分のほうに陽琉の腕を引く。
琥珀「座れるところに行こう。お前、名は」
陽琉「都並陽琉……」
琥珀の目がいつくしむように細められる。
琥珀「まぶしいな。ひかる」
なぜか琥珀から目が離せなくなる陽琉。
琥珀「こっちだ」
踵を返す琥珀。
よろけつつ、琥珀に腕をひかれていく陽琉。
〇束樹山・川辺(朝)
澄んだ水が流れ、木漏れ日が差し込んでいる。
琥珀の隣で体育座りをしている陽琉。
陽琉(少し登っただけで随分雰囲気が変わる……)
陽琉、きょろきょろとあたりを見回している。
琥珀「面白いか?」
首をかしげる琥珀。
陽琉「えっと、はい」
こくりと頷く陽琉。
琥珀「なら良かった」
微笑む琥珀。
ぎこちなく微笑み返す陽琉。
琥珀「お前、あの男に会ったんだろう」
陽琉「あの男……?」
琥珀「シルクハットのつかめない男」
陽琉「ああー! 会いました! そうです!」
陽琉、ぶんぶん首を縦に振る。
琥珀「俺も会った」
陽琉「会ったって……お知り合いじゃないんですか?」
琥珀「知らん。急に出てきて急にいなくなった」
陽琉「ええ……誰に対してもそうなんだ……」
ポカンとする陽琉。
琥珀「犬に吠えられていたから……追い払ってやったんだ」
陽琉「あの人いつも吠えられてるんだ……」
琥珀「なんだ」
陽琉「い、いえ。なんでも」
少し笑ってしまった表情を隠す陽琉。
宙の何もないところを見る琥珀。
琥珀「あの男は人じゃない。俺みたいなものとも違う」
陽琉「え」
琥珀「なんだ」
陽琉「あの人はなんとなく人じゃなさそう……だと思ってたけど。あの、あなたも」
琥珀「ああ。あの男はおそらく神の類。そんな大層なものじゃないが、俺も人ではない」
呆然とする陽琉。
琥珀「お前は違うのか」
陽琉「私は人間です……本当に、普通の」
目線をさまよわせる陽琉。
陽琉をじっと見つめる琥珀。
琥珀「お前、この時間の人間じゃないだろう」
顔を上げ、一瞬迷った後頷く陽琉。
琥珀「それは普通か?」
陽琉「あの、あの人がコンパクトをくれて……私、私自身は本当に……」
しどろもどろになる陽琉。
琥珀「何も責めてはいない。そうか、やはり」
一拍置く琥珀。
琥珀「お前はここにはいないんだな」
陽琉、琥珀の顔を見つめるが感情が読み取れない。
琥珀「……それでも良いさ」
柔らかく微笑む琥珀。
琥珀から目が逸らせなくなる陽琉。
琥珀「陽琉」
陽琉、何故だか涙が出そうで目を逸らす。
琥珀「ここにはよく?」
陽琉「えっと……それなりに」
琥珀「そうか。俺にはお前が分かる。お前がここに来たら、声をかけることにしよう」
陽琉、琥珀に顔を向ける。
琥珀、まっすぐな瞳で陽琉を見ている。
陽琉「それは……どうして」
琥珀「どうしても」
目を伏せる琥珀。
琥珀のまつ毛を見つめ、ぎゅっと胸元を握る陽琉。
陽琉(この人を見てると胸が締め付けられるのに……ずっと見ていたくなる)
顔を上げる琥珀。
琥珀「町に戻ろうか。その方が楽しいだろう」
陽琉に笑いかける琥珀。
陽琉「ありがとうございます。この川辺も、綺麗で好きですよ」
慌てて笑い返す陽琉。
あいまいに笑う琥珀。
〇束樹町・道(朝)
人が増えてにぎわっている。
琥珀と並んで歩いていく陽琉。
陽琉「そういえば、あなたの名前は?」
琥珀「……琥珀」
陽琉「琥珀。良い名前ですね」
琥珀「ありがとう」
反対から歩いてきた男性とぶつかりそうになるが、器用に避ける琥珀。
その様子を、どこかうらやましそうに見ている陽琉。
陽琉「あの帽子の人のことは知らないって言ってたけど、ほかにお友達は?」
目を輝かせる陽琉。
琥珀の顔に影が差す。
琥珀「いや……ここにいるのは皆人間だ」
陽琉「?」
琥珀「俺は人間とは関われないからな」
陽琉「……え?」
冷水をかぶったような感覚になる陽琉。
陽琉、口を開こうとするが、どうしても言葉が出てこない。
